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「音楽人通信」1994年7/8月合併号)

人間よおごるなかれ

 今年は凄い夏だった。去年とうって変わって、猛暑。各地で最高気温やら、真夏日連続、熱帯夜連続など、数々の記録を更新した。日本だけではない。パリでもウィーンでも、そして北京も凄い暑さだったらしい。
 私たちの地球はどうかしてしまったのだろうか。過剰な二酸化炭素による地球の温暖化は着実に進んでいるそうだが、今夏の暑さはその直接の結果ではないらしい。二重に高気圧が覆ったから、というのだが、それがなぜなのかは説明されていない。
 わずかにだが、そら恐ろしさが背中の方からそっと忍びよってきているように感じるのは、主旋律子だけだろうか。ヒトはすこし驕り、かつ奢りすぎているのではないだろうか。原子爆弾などというものをつくること自体狂気の沙汰だが、もう原爆などというのも古臭く、チャチなものだそうで、その何百倍という威力がある核兵器が、地球上にウジャウジャある。一方、松本という品のよさそうな地方都市で、猛毒のサリンがただよっていたりする。無茶苦茶に石油を使って、季節にかかわりなく、いつでもあらゆる野菜が食べられる。タイ米は捨てる。ルワンダでは子供たちが飢えて死んでいくというのに。
 突然だが、音楽こそが、だけとは言わないが、このような驕りに対して、全面的にたちふさがる精神の営みではなかろうかとつくづく思う。