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(「音楽人通信」1996年12月号)

冬のイルミネーション

 初冬の札幌はもう、雪がちらつきはじめる。大通公園という、その名のとおり公園のように広い通りは、木々はもとより、さまざまなデザインのイルミネーションが色とりどりに飾られていて、お伽の国のように美しい。いつからこんな風になったのだろう。
 そこから名古屋にとんだら、ここにも久屋大通りというのがあって、木々とテレビ塔がやはりイルミネートされている。テレビ塔は札幌の大通公園にもあるが、名古屋のほうが高く、ブルーのサーチライトが夜空を照らしたりもしていて、一段とさえわたっている。しかし、通り全体では、札幌のほうが幻想的で、はるかに美しい。
 そういえば、去年の十二月はニューヨークにいて、やはりイルミネートされ、クリスマスのデコレーションに飾られた街のにぎわいが楽しかった。ロックフェラー・センター横の広場では、野外のスケートリンクがあって、子供達にまざって大人も滑っていた。
 ところで、わが東京のテレビ塔東京タワーも、昼間見るとなんとも不恰好な塔だが、夜は、イルミネーションのデザインが優れているためか、あの優雅なパリのエッフェル塔に匹敵する姿に見えないこともない。
 エネルギーの浪費ではないか、と言う人もいるかもしれないが、人はパンだけで生きるわけではない。人が人間らしく生きるには、さまざまな文化的装置が必要だ。だから日々の生活を彩るいとなみに、生涯をかける人もいる。
 音楽家だってそうだよね。