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「本当の労働組合」づくりを。

○○○○○○○○○○○○○○○小越洋之助のページ


「現代労働組合研究会」のページへようこそ。



information新着情報


2022年12月24日
「新型コロナ禍の非正規労働者の抵抗とその基礎」(『唯物論研究会年誌26号』、2021年10月号、大月書店)
――「飲食店ユニオン」(首都圏青年ユニオン)の挑戦、栗原耕平(専修大学大学院博士後期課程)
2022年12月02日
非正規労働者でも、入れる労働組合づくり――大日本印刷の職場に労働組合を(印刷関連ユニオン・大日本印刷分会、全印総連)
――印刷関連ユニオン・大日本印刷分会の今――インフレ手当、一時金30万円の要求。
2022年12月02日
◇ブログ:「ある編集者のブログ」で書いてきたこと。 ◇(株)大日本印刷の非正規労働者たちが労働組合を立ち上げた(▽2020年7月27日 (月))
◇寺間誠治さんが書いた労働運動における「戦略的陥没地帯」をどうするのか
(▽2020年5月5日(火))
               
2021年06月05日
斎藤美奈子さんの書評:「ユニオンは下層労働者が貧困からはい上がるための武器」――『週刊朝日』(2021年6月11日号)(木下武男著:『労働組合とは何か』、岩波新書)書評で紹介!
2022年07月20日
◎Book review
新入社員は労組に入るべき? 木下武男『労働組合とは何か』(岩波新書)から考える

(今野晴貴、NPO法人POSSE代表。雇用・労働政策研究者)――2021/4/18(日) 9:00
2022年08月03日
これまでの労働組合論を読む(以下、工事中)
改訂新版『労働組合入門 日本の明日を左右するもの』
(塩田庄兵衛著、カッパBOOKS、1961年3月初版 1966年第42刷 1967年4月改訂)
『労働組合とはなにか』 (大森誠人著、三一新書、1965年2月23日)
2022年07月31日
『労働組合組織論』(篠籐光行著、労働大学新書、1966年7月10日)/国労読本④組織編『国鉄労働者の組織と運動――その歴史と課題』(篠籐光行監修 国鉄労働組合編、労働旬報社、1978年5月20日)
2022年08月02日
『労働組合入門』(坂本秀行著、労働大学新書、1973年11月10日)
2022年09月11日
『労働組合入門』(中林賢二郎著、労旬新書 労働旬報社、1974年4月1日)
2022年09月01日
【補論】新ページへ
日本中の労働組合を破壊した「インフォーマル組織」とは何か
(まだ続く)




  
◆以下、ご自分のPCを「125%」に拡大して、読むことをお勧めします。
 ←サイト右上部の「青印」をチェックして!




2022.12.01
 


◎飲食産業においては、首都圏青年ユニオンが二〇二〇年三月に設置したした飲食業分会・「飲食店ユニオン」が、非正規労働者の職場集団を基礎としながら、いくつかの困難への抵抗運動を組織化していた。


◇首都圏青年ユニオンの組織化の今。
▽2021年10月‎




 ▽目 次
 ▼1 新型コロナ禍における非正規労働者の困難
  (1)シフト制労働者の補償なし休業
  (2)職場における感染リスク
 2 新型コロナ禍における困難の歴史的前提
   ――一九九〇年代以降の飲食産業における非正規労働者の増加とその内実
 3 飲食店非正規労働者の抵抗とその基礎
  (1)カフェAの労働者構成
  (2)飲食店現業労働者の労働過程――個別作業とその管理様式
    ①カフェAにおける個別作業とその管理様式
    ②カフェAの労働過程の類型
  (3)カフェAの統制様式――店長とパート・アルバイトの関係
    ①雇用関係における統制の不在
    ②シフト調整権を通じた統制
    ③店長による統制の限界
    ④職場のパート・アルバイト集団
  (4)小括
 おわりに



▼下をクリックしてPDFで全文をお読みください。
   










2022.12.01

 


◎インフレ手当、一時金30万円の要求

◇印刷関連ユニオン・大日本印刷分会の今
▽2022‎年11‎月‎19‎日

歴史的な狂乱物価高騰で、分会会議は「残業は週の半分が8時間の定時終了で、残業がなくなりダブルワークしないと生きていけない」といった悲痛な声が出ました。
2020年からは週労働5日以上働けていたのを、4日以内に制限され、21年には日曜祝祭日の法定休日手当てが全面的に廃止提案され、大日本印刷分会が反対したにも拘わらず会社は強行。この労務費の削減強行で月3万円から5万円の手取りが減っていて死活問題になっています。会社は「紙の印刷・製本は業界全体が減っているから」と平然と団交で発言する。
22年非正規労働者に賃上げがあったが1時間10円、組合員の平均は1030円で「定期昇給しているので賃上げを実感できるようにしている」。わずか1時間10円の賃上げを誇大に喧伝するも、労働日・残業・法定協日手当減では生活はできない。組合員の怒りが爆発し「インフレ手当月1万円を12月から支給、年末一時金一律30万円、賃金は早期に1500円をめざし、来年から東京都の最低賃金1072円以上にする」ことを要求書にまとめ11月14日提出団交を開き、11月29日回答団交を予定しています。
回答団交では一時金9万円のみで他はゼロ回答。
12月1日は組合加入の労働者を会社に公表しました。







  ◆下をクリック、PDFで見てください。
   




2022.12.01
吉村宗夫(facebookの発信)
(2022年11月30日11時00分)


大日本印刷と回答団交開催。






2022.12.01
吉村宗夫(facebookの発信)
(2022年11月29日16時00分)


インフレ手当て、冬一時金を要求しました。


△上の写真をクリックして、吉村さんのfacebookへ。



2022.12.01
吉村宗夫(facebookの発信)
(2022年11月28日16時00分)


生産性が上がらないから賃金が上がらない、はデマだ。30年間賃金を上げたくない経営者の言い訳にすぎない❗️
非正規労働者を選択したのは自己責任もデマだ。



△上の写真をクリックして、吉村さんのfacebookへ。



2022.12.01
吉村宗夫(facebookの発信)
(2022年11月22日12時06分)


企業内労働組合が、秋年末闘争で何もしない、冬一時金の説明も無いなら、組合幹部に説明を求め幹部を突き上げましょう。


△上の写真をクリックして、吉村さんのfacebookへ。



2022.12.01
吉村宗夫(facebookの発信)
(2022年11月20日6時00分)


印刷ユニオン٠大日本印刷分会は、大日本印刷株式会社に秋年末闘争で、冬一時金一律30万円、インフレ手当て月1万円等を要求して、要求書趣旨説明団交を開きました。


△上の写真をクリックして、吉村さんのfacebookへ。



2022.12.01
吉村宗夫(facebookの発信)
(2022年11月10日15時42分)




△上をクリックして、吉村さんのfacebookへ。



2022.12.01
吉村宗夫(facebookの発信)
(2022年10月31日)


30日日曜日は、今年3月に続き2回目になるBBQ大会」を、久喜菖蒲公園で開催しました。


△上の写真をクリックして、吉村さんのfacebookへ。





2022.12.01
吉村宗夫(facebookの発信)
(2022年10月31日)


印刷ユニオン٠東京地域支部の第2回定期大会を開きました。組織拡大をどうしたら出来るのか、人のつながりを作る、職場で組合に入っていない労働者に大胆に訴えよう、など活発な意見が飛び交いました。


△上の写真をクリックして、吉村さんのfacebookへ。




◇ブログ:「ある編集者のブログ」で書いてきたこと



(株)大日本印刷の非正規労働者たちが労働組合を立ち上げた
blog 
▽2020年7月27日 (月)

 埼玉県久喜市にある「(株)大日本印刷の非正規労働者たちの複数の人」(「週刊新潮などの製本現場も含む」、1万人に近い)が、自らの労働組合をたちあげたというニュースを伝えたい。
 「22日、久喜駅で朝宣伝で使用するもので、他への紹介もお願いいたします。原稿も合同支部機関紙に書いたものであり、問題ありません」と書かれたいるので、UPしておく。
 先年亡くなった、《寺間誠治さんが書いた労働運動における「戦略的陥没地帯」をどうするのか》(「ある編集者のブログ」に書いた)の問題提起に答える動きだ。

 そこで寺間さんは、「組織的空白地帯 1.製造大企業構内の広大な非正規労働者(戦略的陥没地帯)」として書いている。 
 ▽Yさんから
 非正規労働者だけの労働組合わずか8名の少数ですが、同社1万人の非正規労働者の労働条件に責任を負っているだけでなく、経産省発注の持続化給付金事業での「税金ゆすりたかり」への批判。それに大日本も入っている、世論は批判一色で、評判悪いと追及。
 また紙印刷製本は縮小で厳しい、との会社の言い分に「内部留保1兆円もあるのを賃上げに回せ」と発言できることは画期的。経団連前、トヨタ本社前でビラを配り、申し入れはできても、大企業に団交の場で直接内部留保を賃上げに回せといえる組合は、全労連内でも数少ない。      大日本印刷分会  M・Y

 7月22日、久喜駅で朝宣伝で使用するもので、他への紹介もお願いいたします。原稿も合同支部機関紙に書いたものであり、問題ありません。
2020年7月27日 (月):(株)大日本印刷の非正規労働者たちが労働組合を立ち上げた
【追記】(2021年2月28日)
全印総連、情報印刷関連合同支部の宇都宮線久喜駅ビラまき宣伝
  






寺間誠治さんが書いた労働運動における「戦略的陥没地帯」をどうするのか
blog 
▽2020年5月5日(火)

 寺間誠治さん(2019年2月2日にご逝去。享年70歳)が亡くなって久しいが、ご本人とは「業種別職種別ユニオン運動」研究会で同席した者で、編集子は同時代を別の所で生きてきた。

 寺間さんの「労働組合運動への期待」について、過去に書いてきたものだが、全労連系やそれ以外の組合運動家にもこのようなテーマをどうしていくのか、考えていただきたく再UPした。

 ▽私が紹介した「全労連の研究」(2012.07.08)

 産業別労組づくりのビジョンを提示――全労連の現勢と組織拡大戦略(残念ながら元のデータが削除されて読めない)
 二つ目は、寺間誠治さん(全労連組織局長 寺間誠治・労働者教育協会副会長)の「この社会を変える展望新しい労働運動とナショナルセンターの役割」(第117 期基礎教室第11 回(最終)講義 <社会を変える力はどこにあるのか> 2010 年7 月3 日)。この当時の肩書で、現在は政策総合局長。

 冒頭に掲げられている3つの柱は、以下の通り。
 ① 労働組合こそ使用者と対等に渡り合えるツール。社会的連帯がユニオン運動を通じて実現している
 ② ナショナルセンターとは何か。 一国の労働者の労働条件の水準は、その力量に規定される
 ③ 情勢は激変。未来を拓くために、個人を尊重した労働運動の再構築へ
 講義録のレジュメだが、全労連がどのような分野に力を注いでいるかが分かる。
 第一に、「社会的正義の実現~非正規に向かうユニオン」と、「新しいユニオン運動前進の背景」を示している。
 ①製造大企業における違法派遣の急増と法的・社会的責任放棄に対する批判
 ②労働力流動化と賃金・労働条件決定システムの変化
 ③企業別組合の閉鎖性への批判と社会的労働運動への支持と共感
 ④ローカルユニオンの自主性・多様性の魅力
 ⑤青年労働者の意識変化

 その次に、寺間さんが掲げている柱が大事だ。
 ②組織的空白地帯
 1.製造大企業構内の広大な非正規労働者(戦略的陥没地帯)
 2.流通・サービス産業(小売10.2、サービス4.6%)
 3.中小零細企業(99人以下1.1%)
 「戦略的陥没地帯」と書かれている、大企業製造業における「労働オルグ」の組織配置が、今後の全労連のゆくえ・未来の戦略を決定するのではないか。
 アメリカ映画ではないが、工場・大規模店舗の外から「女性オルグが組織化を行う」ルポルタージュが書かれる時代だ。
そのために、「合同労組の研究」を示しながら、以下のような「産別組織の紹介と改革方向」を示している。

 ▼日本型産別組合~産別交渉権を持つ単産
 全国港湾、海員組合、私鉄総連、プロ野球選手会、建交労(ダンプ、生コン)、UIゼンセン(NCCU)
 産別組織の改革方向
 1.産別労使関係機構の確立=産別団交と産別協約締結にむけた戦略構想
 2.産別ユニオン(個人加盟一般般労組)の確立=企業横断的機能の強化
 3.ローカルユニオンと産別ユニオンの地域的連帯強化
 →組織改革への模索:映演労連、生協労連、金融労連、全建総連…。
 ▼組織改革の戦略的方向、必要な検討課題
  1.理念:未組織の組織化は日本労働運動の改革
  2.運動論:地域運動と教育学習を通じた企業別組合の内部改革への努力
  3.組織論:地域ユニオンの構築と産別ユニオンによる企業別組合改革
 ▼おわりに~新自由主義改革ではなく新たな福祉国家へ
  新たな福祉国家へ~全労連「雇用の安定を求める研究会」発足
  憲法13条 「団結強制」ではなく、個人を尊重した運動の再構築へ
  連帯の絆に包まれた個人は、他人への攻撃(不正)を自己のものとして行動
 『若者よ、マルクスを読もう』(内田樹「共産党宣言」より)

 全労連における「産別組織」づくりでは、旧運輸一般、建設一般全日自労などの「産業別・地域別一般組織づくりの経験(失敗も含めて)」を再考してほしい。その周りに、金融や電機、食品、印刷、航空などの新しい「一般労組」づくりと全労協・連合の単組と「共同」する度量が欲しい。
 首都圏ユニオンを生みだした、公共一般労組などの経験も、身近にあるのではないだろうか。




2021.06.05
【参考】『週刊朝日』(2021年6月11日号))書評で紹介!
斎藤美奈子さんの書評:「ユニオンは下層労働者が貧困からはい上がるための武器」(木下武男著:『労働組合とは何か』、岩波新書)
   








2021.06.05
◇今野晴貴:yahooニュース
▽2021年4月18(日) 9:00
新入社員は労組に入るべき? 木下武男『労働組合とは何か』(岩波新書)から考える

今野晴貴NPO法人POSSE代表。雇用・労働政策研究者。
2021/4/18(日) 9:00


(提供:ideyuu1244/イメージマート)

 4月となり新入社員は社内の労働組合に加入するか悩んでいる場合も多いと思います。また、日本では企業別組合が主流ですが、日本の労働組合はあまり「役に立たない」ともよく言われています。
 そこで今回は、ちょうど4月に出た新刊、『労働組合とは何か』(木下武男著、岩波新書)を素材にして、そもそも労働組合とは何か、日本の労組はじっさいにあまり役に立たないのかといった疑問に答えていきたいと思います。


労働組合の機能とは
 
 日本の労働組合法は、労働組合の目的を「労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的」と規定しています。また、労働組合法は、その目的を達するための手段として団体交渉権、争議権などを定めています。
 なるほど、労働組合とは労働条件の維持改善その他の経済的地位の向上を目的とする団体だといわればその通りでしょう。労働組合は賃金など労働条件をめぐって企業と団体交渉を行うことを知っている読者も多いと思います。
 ところが、『労働組合とは何か』によれば、「労働組合の目的から、労働組合とは何かを考えようとすると、答えがわからなくなる」といいます。また、この目的という点だけから考えると、日本の労働組合がどう本来の労働組合と異なるのかも、わからなくなってしまうということです。 
 では、本当の労働組合を理解するカギは何でしょう。それは、労働組合の「機能」と、それを実現するための「手段=方法」です。
 まず、機能について著者は次のように説明します。
「労働組合の根源的機能とは「競争規制」である。労働者がバラバラにされ、相互に競争をさせられている。この状態に対して労働組合が労働者を結合させ、労働者同士の競争を規制する、これがユニオニズムに他ならない」(70頁)。
 今日の日本社会でも、仕事を求める人はたくさんおり、相互に競争しています。応募者が多ければ、賃金は需要と供給の関係から低い方向に移動していきます。そこに歯止めをかけているのが最低賃金法ですが、日本でも、最低賃金周辺の雇用が非常に多いのです。
 最低賃金以上の仕事を増やしていくには、労働者同士の競争の抑制が必須です。19世紀、労働組合を研究したことで有名なウェッブ夫妻は、競争を抑制する労働組合の機能は「共通規則」の設定によって実現すると説明しました。
 「(労働者が個別に使用者と交渉する) 個人取引」のもとでは 、労働者の生活はとめどなく悲化する 。その悪化をくい止めるにはどのようにすれがよいのか 。そこでウェッブが、当時の労働組合をつぶさに観察して探り当てた概念が「 共通規則」(コモンルール )である」(72頁)。
 賃金についての「共通の規則」が設定されれば、それ以下の仕事は許されなくなりますから、労働者間の低賃金へ向かう競争は抑制されます。その方法には、先ほども述べた最低賃金法のような「法律」という手段もあります。
 これに対し、労働組合は「集合取引」の方法によって、競争を抑制します。そして、「これこそが労働者間競争を規制する方法の中心的な位置を占めている」のです。
 例えば介護や保育といった特定の業種で、職種別の最低賃金を労働組合が業界団体と交渉して決めたとします。新任の介護士は時給1200円といった具合です。こうすれば、介護をしたい人がたくさん労働市場にいても、1000円、900円と最低賃金までさがっていくことはありません。
 これを実現するためには、もちろん前提があります。その業界の労働者のほとんどが組合に入っており、業界団体と交渉しなければ、「抜け駆け」が発生してしまうからです。だから、労働組合は同じ業種やおなじ職種でまとまって交渉する必要があるのです。
 いずれにせよ、労働組合の目的は労働条件の維持改善であり、その「機能」は「共通規則」にもとづく労働者間競争の規制であり、そのもっとも重要な「方法」は集合取引です。
 これが本書が示す「労働組合とは何か」ということの答えです。

日本の労組は役立たない?

 日本の労働組合の圧倒的多数は企業別組合です。おそらく、新入社員が加入を悩んでいるケースの多くも、企業別組合だと思います。では、日本の労働組合は、先ほどの労働組合の「目的」や「機能」、その「方法」の視点からは、どう評価できるのでしょうか。
 まず、「目的」に関しては、とうぜん企業別組合も労働条件の維持・改善を目指しています。「方法」に関しても、会社内の労働者が経営者に対して会社ごとの「集合取引」を行っています。社員の給与がどのように上がるのかなど、企業別組合は会社と労働協約によって取り決めをしています。
 このようにみると、確かに日本の企業別組合も、労働組合としての役割を果たしているようです。組合に入って集合取引に参加することで、労働条件の維持・改善ができそうに思えます。
 しかし、「機能」に着目すると、日本の労働組合は、労働者間競争を抑制するというその本質的な役割を果たしていないことがわかります。企業別組合は労働者間の競争を抑制していないからです。まず、一見して企業別組合は職種別や産業別の賃金を設定しませんから、労働者は企業間の競争に巻き込まれることがわかります。
 ある企業の賃金が1000円だとして、別の企業が900円だとします。すると、900円の企業はより安く製品をサービスを提供することができ、市場で有利に立ちます。すると、1000円の企業の労働者も、会社に「協力」して900円に引き下げることに同意せざるを得なくなってしまいます。つまり、「共通規則」が企業の中にとどまっていることで、ほとんど無効になってしまうのです。
 そうすると、労働組合もどんどん企業の利害と癒着していき、その交渉能力がなくなっていきます。実際に、私が日々経験する労働相談では、「社内の労組にパワハラを相談したが、上司に報告され、よりひどくいじめられるようになった」という相談が後を絶ちません。非常に残念なことです。結局、企業に閉ざされた交渉の「方法」が、労働組合の「機能」を発揮させないのです。
 また、『労働組合とは何か』では、特に年功賃金の問題を指摘しています。企業内の「共通規則」に思える年功賃金も、実はその競争抑制の機能を果たしていないといいます。
(年功賃金という)「この「 安定」のシステムは同時に「 競争」のシステムでもある 。「競争」のシステムは二つの仕組みからなっている 。まず 、職級は線のように描かれているが、それは幅をもった帯状の線だ。その線は上下各5%幅がある。その範囲で人事考課制度の査定がはたらく。この幅のなかで 、査定でよい評価を得ようと競争することになる」(191頁)。
 本書より引用した下の図をご覧ください。これは典型的な年功制を採用している東京電力の賃金体系ですが、年齢とともに右に行くほど、号数が上がり賃金が上がります。しかし、そのあの線の中にも上下5%の差があって、上がるか下がるかは企業が決められるということです。もちろん、その「査定」はどれだけ会社に貢献したのか、という「競争」を引き起こすことになります。
       
      『労働組合とは何か』190頁より。
 
 著者は続けて次のように指摘します。
 あと一つの「競争」は号俸のラインの進み方にある。号俸のラインを横に進んで、最後まで達して上位の職級に上がるのではない。それでは大幅な昇給はできない。実際には、いくらか進むと途中で上位の職級に上がることができるようになっている。この上位の職級へ上げるかどうかが、会社の裁量に完全にゆだねられている 。このことが決定的だ上位の職級に行けなければ昇給は遅々として進まない。この号棒における上下幅の査定と、早期の昇級を競い、他の従業員よりも早く昇進しようとして競争がなされる。このようにして企業内の労働者同士の「競争」システムができあがっている(同上)。
 このように、結局年功賃金は、労働者間競争を抑制する「共通規則」とは似ても似つかないものなのです。実際に、戦後日本社会では激しい出世競争が繰り広げられ、「過労死」を蔓延させました。日本発祥の「過労死(Karoshi)」は世界語にもなっています。
 日本で過労死が蔓延し、今日も収まらない重要な要因は、賃金に「共通規則」がないからです。そして、日本の労働組合が本来の「機能」を発揮していないことが、その理由なのです。
 さらに、共通規則の不在は労働を過酷かさせるだけにとどまりません。社内のパワーハラスメントやセクシャルハラスメント、いじめなども、上のように人事の裁量が大きいために、社員は批判できない構造ができあがっています。上の東京電力の例では、危険な原発に対し、従業員が声を上げることができなかった理由にもなったと指摘されています。労働組合の在り方は、企業の不祥事や産業の在り方とも密接に絡んでいます。

結局、労組には入るべきか?

 実は、日本の労働法は企業別組合に入ることを義務付けたり、奨励したりは一切していません。海外のように社外の労組に直接加入することは自由ですし、労働法はそうした労働組合も全面的に保護しています。
 そのため、社内労組に力ない場合には、外部労組に入ることも一つの選択肢になるでしょう。社外労組(コミュニティーユニオンや業種別・職種別ユニオン)では、賃金の未払いや解雇・雇止めに加え、パワーハラスメントなどの労働問題にも対応しています。
 とはいえ、『労働組合とは何か』が示したような「本来の労働組合」の機能は、社外労組であっても発揮できません。日本社会に広がる非正規雇用差別や「ブラック企業」の問題を解決していくためには、労働時間や賃金に対する「共通規則」を実現することが不可欠です。
 『労働組合とは何か』では、現在の労働組合を改革していく「方法」についても詳しく書かれています。労働組合を作ることや、現在の組合を改革することは、組合員の自由です。法律は労働組合の「機能」については、何も決めていません。だから、ほんとうの労働組合を作る担い手は、私たち自身だということになります。
 それではユニオニズムの創造というミッションをいったい誰が担うのだろうか。これまでみてきた歴史から、おのずと明らかだろう。担い手は一人ひとりの自覚した個人である。組織や他人から命じられたわけではない。自発的な意思にもとづく個人が、しかも、バラバラにではなく、相互に結びついた集団として自覚的に行動する。彼らこそ活動家集団(ユニオン・アクティビスト)である(274頁)。
 このような道を進むためには、現在は個人の問題や小さな企業の労使交渉を地域単位で担っている社外労組が職種別の「集合取引」を実現できるように発展することや、現在の企業別組合が職種別の交渉単位に組み込まれていく必要があります。本書では、一人一人の組合活動家の努力で、そうしたことを実現できる可能性があるといいます。
 少し長いですが、最後にその道筋を引用します。日本の労働組合に加入するということは、日本の労働組合を機能させていくために取り組むことともかかわっていることがわかると思います。
(社外の一般労組から発展する)業種別職種別ュニオンは、未来のゼネラル・ユニオンの「トレード・グループ(職種別の交渉単位)」として位置づけられる…それらが結合することで、やがてゼネラル・ユニオンの全国組織が生まれる。小さな営みはやがて大きな流れとなるだろう。
 今ある産業別の全国組織や合同労組、コミュニティ・ユニオンなどもこの方向に向けて改革をめざすことが期待される。企業別組合もユニオニズムを創造する流れに合流することだ。例えば企業別組合の中心メンバーが外部の個人加盟ユニオンに二重加盟するなどして、労働者の連帯のエネルギーを企業内に環流させることをつうじて「内部改革」は進むだろう。合同労組やコミュニティ・ユニオンも、そのなかにある業種別部会を地域的な交流や企業別組合の集合体にとどめることなく、だんだんと業種別の結集軸に発展させていくことが求められる。このことをなし得たら、業種別職種別ユニオンと、既存の労働組合の「業種別グループ」とが連携し、集団交渉も可能になるだろう。それをへて、業種・職種を結集軸にした労働組合の合同運動を展開する段階に入ることができる(272頁、()内は引用者)。
 日本の労働問題に取り組み、研究してきた筆者もこのような労働組合の改革は、日本社会を変えるために必須だと思います。ぜひ、実現できるとよいと思います。

おわりに

 今回は『労働組合とは何か』を手掛かりとして、労働組合とは何か、そして日本の労働組合の実情についてお話してきました。問題はなかなか根深いという印象を持たれた方も多いと思います。
 社内で問題があるとき、迷ったらまずは社外の労組を選択肢にいれることをお勧めします。個人の問題を解決するためには、それが一番近道です。そして、企業内に労組も積極的に活用し、問題があれば内部改革を目指していくことも長期的には重要です。私たち一人一人に、日本の労働社会の未来がかかっているのです。

▽社外労組の無料労働相談窓口
総合サポートユニオン
03-6804-7650
info@sougou-u.jp
*個別の労働事件に対応している労働組合。労働組合法上の権利を用いることで紛争解決に当たっています。
ブラック企業ユニオン 
03-6804-7650
soudan@bku.jp
介護・保育ユニオン
03-6804-7650
contact@kaigohoiku-u.com
*関東、仙台圏の保育士、介護職員たちが作っている労働組合です。
仙台けやきユニオン
022-796-3894(平日17時~21時 土日祝13時~17時 水曜日定休)
sendai@sougou-u.jp
*仙台圏の労働問題に取り組んでいる個人加盟労働組合です。
労災ユニオン
03-6804-7650
soudan@rousai-u.jp
*長時間労働・パワハラ・労災事故を専門にした労働組合の相談窓口です。

今野晴貴
NPO法人POSSE代表。雇用・労働政策研究者。
NPO法人「POSSE」代表。年間5000件以上の労働・生活相談に関わり、労働・福祉政策について研究・提言している。11月に『賃労働の系譜学 フォーディズムからデジタル封建制へ』を青土社より刊行予定。その他の著書に『ストライキ2.0』(集英社新書)、『ブラック企業』(文春新書)、『ブラックバイト』(岩波新書)、『生活保護』(ちくま新書)など多数。流行語大賞トップ10(「ブラック企業」)、大佛次郎論壇賞、日本労働社会学会奨励賞などを受賞。一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程修了。博士(社会学)。



2022.08.02up

  
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2022.08.30up
   




 
 

 





   
   



 
▽2021.02.09
 




シーアンドシー出版の関連出版物
   
●『協働の未来に光あれ! パラマウント製靴の歩みと労働者生産協同組合へ』(パラマウント製靴共働社の石井光幸さんが編集した。シーアンドシー出版刊、1995年8月、B5判並製、400頁)
●『皆でたたかった50年――全日自労三重県本部の歴史』
全日自労三重県本部・協同総合研究所編、
シーアンドシー出版、1996年
46判上製
●『AARPの挑戦-アメリカの巨大高齢者NPO』
日本労働者協同組合連合会編
シーアンドシー出版
1997年10月、定価2,000円 (税別)、46判:257p







仕事おこしのすすめ 池上惇著
  シーアンドシー出版・協同総合研究所、1995年3月
  (PDF完全復刻版)


  1933年 大阪市生れ。
  1956年 京都大学経済学部卒業。同大学院経済学研究科、同助手、助教授を経て、
  現 在(当時) 京都大学経済学部教授・経済学博士・文化経済学会会長・財政学会理事・全国共同作業所連絡会顧問。その後福井県立大学大学院経済・経営学研究科教授、京都橘女子大学(現・京都橘大学)文化政策学部長・教授を歴任
 
  著 書 『地方財政論』(同文舘)、『管理経済論』(有斐閣)、『情報化社会の政治経済学』(昭和堂)、F人間発達史観』(青木書 店)、『福祉と共同の思想』(青木書店)、『経済学一理論・歴史・政策-』(青木書店)、『財政学』(岩波書店)、『文化経済学のすすめ』(丸善ライブラリー)、『生活の芸術化』(丸善ライブラリー)、『経済学への招待』(有斐閣)ほか多数。

  • 目次

  •   序 章 仕事おこしと協同組合
    ――労働者協同組合運動の展望によせて

     一 協同組合の原点と新たな位置づけ

     ◇協同組合運動の誕生 
     ◇働くものの生活を総合的に支援する仕事おこし運動 
      ――協同組合運動の基本的な特徴
     ◇悪徳ビジネスとの競争に勝てる条件を考えよう 
     ◇公正競争の権利・生存権保障・人間発達の権利、そして、情報化社会

     二 仕事おこし・地域づくり運動の現代的意義

     ◇「よい仕事」をおこす運動の発展 
     ◇「仕事おこし・地域づくり運動」の公共性

      第一章 日本における仕事おこし運動

     はじめに
     ――仕事おこし運動の今日的意義

     一 戦前の仕事おこし運動

     ◇協同組合運動として 
     ◇賀川豊彦のマルクス論 
     ◇「雇われもの意識の克服」
     ◇ラスキンから現代的に学ぶ 
      「主体的な人間の発達」
      当時の仕事おこしの実践例
      映画制作の意味

     二 生産協同組合の仕事おこしとは何かl

     ◇消費者欲求と結んで 
     ◇生きがいをもてる仕事の回復 
      ――生産協同組合の再生
     ◇生産協同組合はむずかしい、との指摘 
     ◇生活様式の変化と結んだ独自の方向 
     ◇全組合員で運営する経営

     三 現代の仕事おこし運動の可能性

     ◇生きがいをもてる仕事の回復 
      ――ドラッカーの指摘
     ◇ほんもの志向と対人サービスの増大 
     ◇素人から始め専門職を育てる 
     ◇まちづくりの視点と結びついた協同の運動 
     ◇多様な専門家の必要性の増大 
     ◇教育と福祉でまちおこし 
     ◇新社会資本レベルの活用 
     ◇まちづくりと農村とも交流して 
     ◇「よい仕事」と公的支援の追求の重要性 
     ◇不況から脱却へ

      第二章 現代の協同労働の可能

     一 現代の疎外と労働状況

     ◇疎外状況の広がり
     ◇「人間は馬より劣っている」か

     二 協同組合発展の基礎を考える

     ◇消費者の生きがいと結び
     ◇生協が日本で伸びた理由
     ◇生活の質を変える欲求の高まり
     ◇協同組合の高揚の意義
     ◇公共と自治体からの支援の高まり

     三 労働の人間化と協同労働

     ◇労働の人間化
     ◇「情報の共有化」とネットワークづくり
     ◇潜在能力の発揮と協同組合労働

      第三章 労働者協同組合と人間発達

     一 非営利組織における人間の問題

     ◇障害者運動から生まれた発達論 
     ◇自力で学習できる環境づくり
     ◇発達段階に応じた適切な援助 
     ◇人間の交流は対話から 
     ◇非営利団体での人間発達とは? 

     二 組合をダメにする11のカギ

     ◇人間発達に逆行する「11のカギ」 
     ◇相互交信できるコミュニケーションを 

     三 仕事の発見と「社会の記憶」

     ◇価値観を転換するキーワード…
     ◇実践が「社会の記憶」をつくり出す 
     ◇「社会の記憶」は人間と組織の発達の基盤 
     ◇「社会の記憶」と共に情報の活用を

     四 能率と民主主義の両立にむけて

     ◇自らの労働のあり方を研究する運動
     ◇労働と教育を運動で結ぶ
     ◇労働者協同組合運動は国民発達保障の労働 
     ◇発達を保障する「委員会」活動 
     ◇情報機器の積極的な活用 
     ◇新しい組織論発展の契機

      おわりに
       ――仕事おこし運勤と社会改革

     一 仕事おこしと新しい時代――雇われもの根性の克服
     二 国民の生活様式の変化
     三 「生きがい」をつくりだす芸術文化の仕事おこし
     四 新しい地域をつくるために
     五 労働者協同組合運動の発展のために







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編集人:飯島信吾
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UP 2022年12月02日 
更新 2022年12月02日 
更新 2022年12月24日