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「本当の労働組合」づくりを。

○○○○○○○○○○○○○○○小越洋之助のページ


「現代労働組合研究会」のページへようこそ。



information新着情報


2024年01月01日
❖新ページ――大日本印刷に印刷ユニオンの旗を――❖全印総連・印刷ユニオン、大日本印刷分会の結成。
大日本印刷に印刷ユニオンを――分会の闘い
2023年11月20日
明治乳業争議に「産業別ユニオン」の旗を。――❖1980年代~90年代の労働組合運動――「国労や明るくする会・争議団」の動向
2023年11月05日
日本的労使関係と大企業の労働組合――1 戦後日本の労働組合運動と組織の概観
 2 ある大企業での実践 石川島播磨とトヨタ自動車(関連企業)にの事例(桜井善行稿)
『労働運動の新たな地平 労働者・労働組合の組織化』(中村浩爾・寺間誠治編、かもがわ出版 2015年08月)
2022年04月29日(固定)
「労働組合とは何か―TOP」のページを新設
――木下武男著、岩波新書で発刊)、2021年3月19日、刊行。
2023年10月10日
❖新ページ――婦人労働から女性労働へ――❖人間として女性として、「人間の尊厳」を基軸に
2023年8月31日
❖新ページ――「あたり前の労働組合を」つくろう。(TOPページ)
2023年8月31日
❖新ページ――大企業職場に「あたり前の労働組合を」
2023年8月31日
❖新ページ――新「インフォーマル組織の過去・現在」
2023年8月31日
◇ブログ:「ある編集者のブログ」で書いてきたこと。
◇寺間誠治さんが書いた労働運動における「戦略的陥没地帯」をどうするのか(▽2020年5月5日(火))
 
2023年08月27日
報告・桜井善行:「ユニオン・ショップと少数派組合――ある大企業での企業内反対派の事例について」(労働者・労働組合組織論研究会6、2012年12月2日)
2023年08月27日
桜井善行稿:税務経理協会、平成21(2009)年3月)「トヨタ自動車労働組合と全トヨタ労働組合――「経営主導」型労使関係と企業内少数派の活動」(『トヨタの労使関係』猿田正機編著、桜井義幸稿、税務経理協会、平成21(2009)年3月)
2023年08月27日
『企業福祉と日本的システム――トヨタと地域社会への21世紀的まなざし』(ロゴス刊、2019年11月)をいただいた。(「ある編集者のブログ」:2020年05月19日分にUP)
2023年08月27日
「労働者・労働組合組織論研究会」の研究会会報の研究会会報(基礎研の現代資本主義研究会などが中心)をいただいた。(「ある編集者のブログ」:2023年08月18日分にUP)
『あたりまえの労働組合へ』・全造船石川島――議論は続く(「ある編集者のブログ」:2016年07月13日分):にUP)
2023年08月27日
トヨタのインフォーマルグループとは――「3章 待遇・人事残酷物語」、『トヨタ残酷物語――現場労働者による内部告発、超合理的生産システムの裏に地獄を見た』、赤松徳司(トヨタ自工労働者)、エール出版社 、1982年03月
2023年08月27日
1983年春、Sさんの来社。ネッスル日本労働組合の格闘!――インフォーマル組織物語。ネッスル日本労組の争議和解へ(声明)(2013年10月01日)。
2023年08月27日
大日本印刷の職場(久喜工場)に――全印総連・印刷ユニオンの旗が。
2023年08月27日
◇造船産業における少数派運動――造船問題研究家・小川善作、『労働法律旬報』(1988年2月下旬号、1186号、1988年2月25日)
2023年08月27日
◇造船産業合理化から地場産業を守る闘い――元全日本造船機械労働組合中央本部書記長 大河内俊雄、静岡社会文化協会 
2023年08月27日
◇戦後日本の労働者と労働組合運動――その現段階と課題、浅見和彦、『唯物論』、東京唯物論研究会、2015年11月、No.89」をUP。
全トヨタ労組、雪印食品一般労組を紹介!  
「戦後日本の組合組織化運動とその論点――ローカルユニオンの歴史的な文脈」、浅見和彦、「月刊全労連」、2007年10月号。
2023年06月11日
現代版「全日自労」をつくろう。中西五洲さんから学ぶ――「民革路線」を今の社会へ、地域コミュニティの主人公づくり。
2023年06月11日
全日自労の「民主的改革闘争」の意義――松澤常夫、「マルクス主義研究年報」、1980年版、NO.4、マルクス主義研究セミナー、芝田進午責任編集、合同出版 (PDF版) 
2021年06月05日
斎藤美奈子さんの書評:「ユニオンは下層労働者が貧困からはい上がるための武器」――『週刊朝日』(2021年6月11日号)(木下武男著:『労働組合とは何か』、岩波新書)書評で紹介!
2022年07月20日
◎Book review
新入社員は労組に入るべき? 木下武男『労働組合とは何か』(岩波新書)から考える

(今野晴貴、NPO法人POSSE代表。雇用・労働政策研究者)――2021/4/18(日) 9:00
2023年08月27日
◇マルクス・エンゲルスの労働組合論――木下武男、『nyx(ニュクス)』 第3号、堀之内出版、2016年11月10日。)
2023年08月27日
:連合内閉じこもり戦略を貫く理由――――「ノート 社会主義協会派『連合運動 20年の検証と労働運動の課題』を読んで」、全国労組交流センター自治体労働者部会事務局、2010/7/25(日)
:共産党の人たちも連合内「階級的民主的強化の担い手論」を課題としている⇔大企業の共産党活動家への文書――経営支部の一部同志たちによる「連合」組合からの脱退と別組合結成の問題について(2000年11月7日、神奈川委員会)
2022年08月03日
これまでの労働組合論を読む(以下、工事中)
改訂新版『労働組合入門 日本の明日を左右するもの』
(塩田庄兵衛著、カッパBOOKS、1961年3月初版 1966年第42刷 1967年4月改訂)
『労働組合とはなにか』 (大森誠人著、三一新書、1965年2月23日)
2022年07月31日
『労働組合組織論』(篠籐光行著、労働大学新書、1966年7月10日)/国労読本④組織編『国鉄労働者の組織と運動――その歴史と課題』(篠籐光行監修 国鉄労働組合編、労働旬報社、1978年5月20日)
2022年08月02日
『労働組合入門』(坂本秀行著、労働大学新書、1973年11月10日)
2022年09月11日
『労働組合入門』(中林賢二郎著、労旬新書 労働旬報社、1974年4月1日)
2022年09月01日
【補論】新ページへ
日本中の労働組合を破壊した「インフォーマル組織」とは何か
(まだ続く)




  
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2023.08.27

◇寺間誠治さんが書いた労働運動における「戦略的陥没地帯」をどうするのか

飯島信吾(「ある編集者のブログ」にUP)
(2022年05月5日(火)
 


 寺間誠治さん(2019年2月2日にご逝去。享年70歳)が亡くなって久しいが、ご本人とは「業種別職種別ユニオン運動」研究会で同席した者で、編集子は同時代を別の所で生きてきた。

 寺間さんの「労働組合運動への期待」について、過去に書いてきたものだが、全労連系やそれ以外の組合運動家にもこのようなテーマをどうしていくのか、考えていただきたく再UPした。

 ▽私が紹介した「全労連の研究」(2012.07.08)

 産業別労組づくりのビジョンを提示――全労連の現勢と組織拡大戦略(残念ながら元のデータが削除されて読めない)
 二つ目は、寺間誠治さん(全労連組織局長 寺間誠治・労働者教育協会副会長)の「この社会を変える展望新しい労働運動とナショナルセンターの役割」(第117 期基礎教室第11 回(最終)講義 <社会を変える力はどこにあるのか> 2010 年7 月3 日)。この当時の肩書で、現在は政策総合局長。

 冒頭に掲げられている3つの柱は、以下の通り。
 ① 労働組合こそ使用者と対等に渡り合えるツール。社会的連帯がユニオン運動を通じて実現している
 ② ナショナルセンターとは何か。 一国の労働者の労働条件の水準は、その力量に規定される
 ③ 情勢は激変。未来を拓くために、個人を尊重した労働運動の再構築へ
 講義録のレジュメだが、全労連がどのような分野に力を注いでいるかが分かる。
 第一に、「社会的正義の実現~非正規に向かうユニオン」と、「新しいユニオン運動前進の背景」を示している。
 ①製造大企業における違法派遣の急増と法的・社会的責任放棄に対する批判
 ②労働力流動化と賃金・労働条件決定システムの変化
 ③企業別組合の閉鎖性への批判と社会的労働運動への支持と共感
 ④ローカルユニオンの自主性・多様性の魅力
 ⑤青年労働者の意識変化

 その次に、寺間さんが掲げている柱が大事だ。
 ②組織的空白地帯
 1.製造大企業構内の広大な非正規労働者(戦略的陥没地帯)
 2.流通・サービス産業(小売10.2、サービス4.6%)
 3.中小零細企業(99人以下1.1%)
 「戦略的陥没地帯」と書かれている、大企業製造業における「労働オルグ」の組織配置が、今後の全労連のゆくえ・未来の戦略を決定するのではないか。
 アメリカ映画ではないが、工場・大規模店舗の外から「女性オルグが組織化を行う」ルポルタージュが書かれる時代だ。
そのために、「合同労組の研究」を示しながら、以下のような「産別組織の紹介と改革方向」を示している。

 ▼日本型産別組合~産別交渉権を持つ単産
 全国港湾、海員組合、私鉄総連、プロ野球選手会、建交労(ダンプ、生コン)、UIゼンセン(NCCU)
 産別組織の改革方向
 1.産別労使関係機構の確立=産別団交と産別協約締結にむけた戦略構想
 2.産別ユニオン(個人加盟一般般労組)の確立=企業横断的機能の強化
 3.ローカルユニオンと産別ユニオンの地域的連帯強化
 →組織改革への模索:映演労連、生協労連、金融労連、全建総連…。
 ▼組織改革の戦略的方向、必要な検討課題
  1.理念:未組織の組織化は日本労働運動の改革
  2.運動論:地域運動と教育学習を通じた企業別組合の内部改革への努力
  3.組織論:地域ユニオンの構築と産別ユニオンによる企業別組合改革
 ▼おわりに~新自由主義改革ではなく新たな福祉国家へ
  新たな福祉国家へ~全労連「雇用の安定を求める研究会」発足
  憲法13条 「団結強制」ではなく、個人を尊重した運動の再構築へ
  連帯の絆に包まれた個人は、他人への攻撃(不正)を自己のものとして行動
 『若者よ、マルクスを読もう』(内田樹「共産党宣言」より)

 全労連における「産別組織」づくりでは、旧運輸一般、建設一般全日自労などの「産業別・地域別一般組織づくりの経験(失敗も含めて)」を再考してほしい。その周りに、金融や電機、食品、印刷、航空などの新しい「一般労組」づくりと全労協・連合の単組と「共同」する度量が欲しい。
 首都圏ユニオンを生みだした、公共一般労組などの経験も、身近にあるのではないだろうか。


2023.11.20
飯島信吾(「ある編集者のブログ」にUP)
(2023年11月19日分)


❖明治乳業争議に「産業別ユニオン」の旗を。


 11月17日(金)、午前中、雨の中を北千住駅東口駅前の「ピーくんカフェ 北千住店」(ここは昔風の喫茶店で150席を超える大型カフェ!なので、打ち合わせをするのに心地いい場所。20年以上前からここで人に会っている)でお二人の方に会ってきた。

 二人は「日本一長い労働争議」をたたかう明治乳業争議を支援している、千葉県労連のMさん、食品一般ユニオンのSさん。
 私がブログやHPで「明治乳業のインフォーマル組織を操る資本とのたたかい」などを書いてきたので、意見を聞きたいということだった。
 ◇2012年10月 3日 (水):明治乳業のインフォーマル組織がフォーマル組織のTOPへ―インフォーマル組織物語Ⅶ
    http://okina1.cocolog-nifty.com/blog/2012/10/post-e225.html     
 ▽「インフォーマル組織とは何か あたり前の労働組合を」のページに。
   明治乳業のインフォーマル組織を操る資本とのたたかい  (PDF)
   明治乳業争議団員リポート記 (PDF)

    http://e-union.sakura.ne.jp/union/informal.html#20180605meiji  
 ◆〔5〕明治乳業争議を支援する会
   http://kotayan.seesaa.net/
   記事内検索「インフォーマル組織」
  〔5-2〕必見! 倉内節子弁護士講演「不当労働行為と闘った30年――明治乳業事件から最近の労働問題まで」

  ◇2016年2月28日 (日):明治乳業争議――戸塚章夫さんの【検証・都労委「明治乳業事件」】読み終えて
   
http://okina1.cocolog-nifty.com/blog/2016/02/post-1b16.html

 お二人のテーマ・話題は「インフォーマル組織と旧統一協会」が一つだったが、こちらは『旬刊社会通信』を紹介して(本誌は岩井章さんと向坂逸郎さんの系譜で、「社会主義協会」なのか不明なのだが、最近の「旧統一教会、富士政治大学、連合・天野会長につながる諸問題」を論説している分析)から話した。

 

 結論は、故ジャーナリスト・青木慧さんが『タカ派知識人』(汐文社、1983年11月)書いているように、『サスコミ』を発行した部隊は、旧統一協会ではなく、民社研や富士政治大学などと同根のメンバー(著名なのは◆気賀健三・慶応大学、吉田忠雄・明治大学、加藤寛・慶応大学など。今、テレビなどにウクライナ戦争で出てくる女性研究者もその系譜)。

 
 ◇「マインドコントロール(洗脳)の社会ーー自民党・旧統一教会・日本会議・松下政経塾・富士政治大学・連合」、山下俊幸(旬刊社会通信、社会通信社発行人=滝野忠、NO.1373、2022年12月1日号)
 http://shakaitsuushin.cool.coocan.jp/mokuji/mokuji.html

   二つ目のテーマは
「明治乳業争議の解決に向けて」が中心だった。
 1980年代~90年代の状況を分析するために、いくつかの「国労や明るくする会・争議団の動向」を話した。

 ◆国労の破壊と総評の解散→連合の誕生
 ◆革新政党員の多くは、「思想信条差別」解決路線で終焉→東電、関電など。IHI(石川島造船)はその後「基幹労組」を立ち上げたが無力化。
   ◆ネッスル日本→ヨーロッパ社会憲章の流れの中で、全労連の枠組みで「解決」
         ◆欧州社会憲章
 ◆沖電気争議→団体交渉抜きで「解決」。→「電機情報ユニオン」埼玉に最近、「定年者」が参加。
 ◆日本航空→第2組合に存在した三桁の「M青」の自然喪失。
 ◆全逓→郵産労との統一についての私見――ユニオン長崎・中島義雄
 ◆全国金属→JMIUへ(テーマ化した組織はなし)
 ❖【参考】戦後日本の組合組織化運動とその論点――ローカルユニオンの歴史的な文脈、浅見和彦、月刊全労連、2007年10月号。
   
 明治乳業争議団は、1980年代に東京争議団運動に参加して、初めて労働組合運動のテーマとして直面して、前者のパターン(思想信条の容認解決)にならなかった。
 ただし「レーニン主義者は新しい組合をつくらない」というインフォーマル組織の論理の枠内で運動していたので「袋小路」に入ったままなのではないか、「政党内ではタブー」であったし、いくつか運動内で取材した経験を話してみて、こちらは大胆に「明治乳業」で働く数万人と言われる「非正規労働者」のなかに「産業別ユニオンの旗を掲げて」、団体交渉にはいる事が解決の道ではないか、と自論を聞いてもらった。
 また「60数名の争議団メンバーの中で、すでに24名の方がお亡くなりになっている」状況で定年後の「厚生年金」でも差別をつけられ、日本国憲法13条の「幸福追求権」「個人の尊厳」まで犯され続けている。
社会的に「遺族年金訴訟(各自1000万円に及ぶ賃金差別がある)で、亡くなった労働者家族の生活と基本的人権を擁護するたたかいをおこすことを考えてほしい」「明治乳業本社前で女性たちの声を発してほしい」など、要請した。
 ⅯさんもSさんも怪訝な顔をしていたが、地域社会における新しい変化には女性たちが中心になっている話を地元での体験を話した。
 さて実践部隊は、どんな方向に向かうのか。要は「争議解決」のためにも、過去の「一企業一組合論」ではないことが、時代の要請ではないか。
 【参考】「日本的労使関係と大企業の労働組合――1 戦後日本の労働組合運動と組織の概観、2 ある大企業での実践 石川島播磨とトヨタ自動車(関連企業)の事例、桜井善行稿」――『労働運動の新たな地平 労働者・労働組合の組織化』(中村浩爾・寺間誠治編、かもがわ出版 2015年08月)
  
 ◆〔4〕アンドルー・ゴードン著、二村一夫訳 『日本労使関係史~1853-2010』(元法政大学大原社会問題研究所所長・法政大学名誉教授)の「第11章 日本型労使関係のヘゲモニー」(434p-437p・PDF版)の部分を読んでほしい。(PDF版)
   
http://e-union.sakura.ne.jp/union/informal.html#20140625gordon
 インフォーマル組織は、「裏返しのレーニン主義」の母国であった、と書いてある。
 「インフォーマル・グループ」とは、共産党の組合内派閥集団である「細胞」をお手本にしてつくられた組合内組織であった。ただし経営側と対立する存在ではなく、会社に支援され会社と協調する集団であった。レーニン主義が政治的に目覚めた前衛分子によって大衆をリードし社会主義革命へと導く戦略であるなら、戦後日本は「鏡の国のアリス」ならぬ「鏡の国のレーニン主義」、 「裏返しのレーニン主義」の母国であった。インフォーマル・グループは、革命とは反対方向へ大衆を導くことを目指した前衛組織である。組合潰しだけがこのお話のすべてではない。インフォーマル・グループに属する者は、採用、昇進、昇給、あるいは仕事の配分、さらには作業長といった監督者への選抜に際し有利な扱いを受けたのである。他方で、戦闘的な活動家は差別的に処遇された。だが日本鋼管だけでなく他社でも、労使関係を安定させ生産性を向上させるには、こうした強硬路線だけでは不十分であった。 1950年代から70年代まで、企業経営者とその同盟者である協調的な労働組合内「会社派」は、従業員の支持獲得の上で大きな成果をあげた。そのための諸方策こそ、ある意味で「日本的労使関係」の核心をなしている。

 ▽Mさんからのメール
 ★これからの闘争はインターネット作戦である。
 ★ 明治乳業はなぜ、労働組合を立ちあげなかったのか。
 ★ヨーロッパは、社会憲章が進んでいる。イジメ、差別など、EUをめざしたたかう必要がある
 ★ 明治乳業のたたかい、なぜ、非正規労働者の要求でたたかわないいのか、何人いるのか、何パーセントか、そこに依拠した運動に発展させる。賃金差別、年金差別、家族の被害を訴えないのか。今の明治乳業のたたかいには、要求闘争がない。
 ★ 産業別労働組合の視点がない。明治社前行動を見ると、男ばかりが演説している。男が出ると女が引っ込む、年配者が出ると若者が引っ込む、これを改善する必要がある。
 ★ 日本は、人脈社会で動いている。 
 ★ 勝利の方程式は、産業別労働組合の結成である。
 ★ 多くの資料、ありがとうございます。









2023.08.27
飯島信吾(「ある編集者のブログ」にUP)
(2023年08月18日分)


「労働者・労働組合組織論研究会」の研究会会報(基礎研の現代資本主義研究会などが中心)をいただいた。

昨日(2023年8月17日(木))、名古屋から上京するという連絡があった旧知の友人・桜井善行さん(労働問題研究者)と都内で再会した。
今日から教研集会(全教など)で報告する、という。台風の影響で新幹線の運休などが続いている中で、心配したら「青春18キップ」をつかい6時間半かかってきたらしい。最近、FBでも同じように、「青春18キップ」を使い夏休みをエンジョイしている同世代の人の話を読んだばっかりなので、こちらも試してみたいと思っていた時だった。
「京都などの研究会にも行くときに使っているけれど、2時間半ですよ」とケロッと言う。
会った用件は、桜井さんたちが、2011年4月27日から15回つづけた、「労働者・労働組合組織論研究会」(基礎研の現代資本主義研究会(2010年7月31日)がきっかけ)の研究会会報の膨大なコピー(1回6Pとして×15回で、100ページ以上、200字詰め原稿用紙:600枚のモノ)だったが、その場で目を通すと研究会報告と報告者の明記など、几帳面なまとめがしてあった。
   
その成果の一端が『労働運動の新たな地平一労働者・労働組合の組織化』(中村浩爾・寺間誠治編、かもがわ出版、2015年10月、定価2000円+税)という単行本になったようだ。 
     
 私もブログにレポートしたことが書かれた本。
 【出所】2016年7月10日 (日):『あたりまえの労働組合へ』・全造船石川島――議論は続く。
http://okina1.cocolog-nifty.com/blog/2016/07/post-7f4c.html

   

 さて預かったはいいが、発表するときは「注意して」と桜井さんから言われたが、どうしたらよいか、研究したい。 





2023.08.27

飯島信吾(「ある編集者のブログ」にUP)
(2016年07月13日分)


『あたりまえの労働組合へ』・全造船石川島――議論は続く。

前回の小論[『あたりまえの労働組合へ』(佐藤芳夫著)が書いていたこと]がある人の「twitter」で紹介さて、1日に200近いアクセスがカウントされた。
   
http://okina1.cocolog-nifty.com/blog/2016/05/post-bc6f.html
 若い世代の中でも関心を持つ人もいるのがわかった。
 そのうえで先日、知人から、全造船石川島の事例から「大企業における一企業一組合」を論じている本を紹介された。
 その本は中村浩爾・寺間誠治編『労働運動の新たな地平』(かもがわ出版、2015年8月13日)で、その《第Ⅱ部 各論――労働現場の諸相 日本的労使関係と大企業の労働組合――「ユニオンショップ」制と少数派組合の事例から 桜井善行 》だ。
    

 1 戦後日本の労働組合運動と組織の概観 
 2 ある大企業での実践―石川島播磨とトヨタ自動車(関連企業)の事例
 3  「一企業一組合論」の検証
著者は、桜井善行(さくらい・よしゆき)さん。
 名古屋市立大学大学院経済学研究科研究員。企業社会・格差社会・企業福祉論。愛知労働問題研究所事務局長。主な著書に『逆流する日本資本主義とトヨタ』(税務経理協会、2014年、共著)など。
 桜井さんは、潜り込んでいった左派活動家の人たちの姿を「協調主義的な労働組合内部での闘いのあり方や多数派をめざすという大義名分への懐疑や葛藤があったことは確かであろう」としているが、「大企業内の左派活動家の多くは、職場の主要なポジションからはずされ、昇級・昇進でも不当な扱いを受け、孤軍奮闘はするものの、労働組合組織や職場内に影響をあたえることなく定年を迎え、大企業職場から去って行った。IHIの事例に日本の民間大企業職場の左派活動家の一つの軌跡を見いだすことができる」としている。
次に「(2)トヨタ自動車・関連企業の事例」を書いている。
これは、2006年1月22日に「全トヨタ労働組合(ATU)」(既存の御用組合・トヨタ自動車労働組合とは違い、正社員、下請け、孫請け企業の社員、外国人、期間工、パートなどトヨタ関連会社で働く者はすべて加入できる間口の広い組合)が結成された話題が一部のジャーナリズムで紹介されていたことを覚えている人も多いと思う。 いつか、紹介してみたいと思っている。
 小文では、残念ながら外す。
 
https://www.mynewsjapan.com/reports/582   
 
https://www.mynewsjapan.com/reports/589
ある大企業での実践――石川島播磨とトヨタ自動車(関連企業)の事例
 ここでは本章の目的である日本の民間大企業内の協調主義的労使関係の実態を検証するために、二つの代表的な大企業内での異議申し立て活動を行っていた企業内反対派の左派グループの活動事例の考察をする。
(1)石川島播磨(IHI)の事例
 まず取り扱うのは造船重機産業である。現在こそ斜陽化・衰退がいわれるが、高度経済成長を通して造船重機産業は日本資本主義の基幹産業であった。全造船(全日本造船機械労働組合)は、その造船重機産業の産業別組織であった。自動車や電機や鉄鋼などのIMF・JC(国際金属労連日本協議会)に参加する産別組織の多くは、資本・経営と協調派による時間をかけた「活動」によって労働組合執行部から左派グループ放逐に成功した。だが造船職場の多くは、一九六○年代半ばから一九七○年代にかけてまだ「全造船」(中立労連加盟当時)が労働基本権(とりわけスト権など)を行使し、それなりの組織力・戦闘力を有していた。それに対して造船職場の会社派グループの多くは「全造船」を脱退、「造船重機」(同盟加盟当時)に加入という戦術をとった。ただ三菱重工長崎造船所の場合は全造船が少数派になってもその旗を守って闘ったことで知られる事例だが、ほとんどの造船職場では一九七○年頃には会社の意向を受けた協調派が指導権を確立していた。それに至るには、会社派労組幹部による企業内での左派放逐のためのありとあらゆる「策動」が行われてきたのはいうまでもない。この点にこの点については金杉秀信(二〇一〇)に詳しい。
 【引用者の注】労働組合とは何か―「インフォーマル組織」とは何か
  
http://e-union.sakura.ne.jp/union/informal.html
 山本潔、『金杉秀信 オーラルヒストリー』、金杉秀信著、大原社会問題研究所雑誌 No.627/2011年1月
   http://e-union.sakura.ne.jp/union/150813yamamotokiyosi.pdf
 IHIの企業内では一九七〇年当時、少数派になったとはいえ、全造船脱退、造船重機加入方針反対の左派グループを支持する労働者群がまだ存在した。だが三菱重工長崎造船所とは対応が異った。そのとき、IHIの企業内の左派活動家グループは、①全造船の旗を守り、造船重機には参加しない立場と、②全造船脱退は不本意であるが、機関決定に従って造船重機に参加してその中で闘うべきだとする立場とに分かれた。前者は、一万人を超える企業内でも圧倒的な少数派組合として数十名で孤軍奮闘し、全造船分会の旗の下、団体交渉を継続して、退職した後でも、団交権を確保して退職者の利益を守ってきた。一方後者は、組合員投票結果に従って造船重機に合流して自らの主張を貫くこととした。当時の後者のグループはまだ三桁の組織を維持し、困難でも闘うことが仲間内では確認されていた。
ところが後者のグループを待ち受けていたのは、企業内での配置転換、昇進、昇給、賃金などでの様々な差別であり、活動そのものを困難にさせていった。職場内での活動も、活動家の仲間同士が分断され、一般労働者との対話すらままならず、仲間はずれにされ消耗していった。彼らは時期的にはかなり後になってから「石川島播磨思想差別裁判」に原告として訴訟を起こした。この裁判闘争では二○○○年に提訴、二○○四年にやっと勝利和解を勝ち取っているが、そのとき彼らの多くはすでに現役をリタイア、もしくは定年直前であった。その担い手の一部が、退職後に「重工業労組」を結成しているが、退職前後になってやっと新労組結成に至った経緯・理由については、多くは語られてはいない。彼らの中には協調主義的な労働組合内部での闘いのあり方や多数派をめざすという大義名分への懐疑や葛藤があったことは確かであろう。
 歴史に「もし」は使うべきではないが、当時この活動家集団と全造船に残った集団とは「学校」系列は違ったが、共に全造船の旗を守る側にたっていたなら、資本・経営からの攻撃にさらされても違った展開になったであろう。少なくとも全造船の旗を守った三菱重工長崎造船所並みの異議申し立てと抵抗を行い、陣地を死守することが出来たであろう。組織を割ったのは、右派・会社派のグループであり、大義名分は少数派にあった。だがこの企業に限らず、大企業内の左派活動家の多くは、職場の主要なポジションからはずされ、昇級・昇進でも不当な扱いを受け、孤軍奮闘はするものの、労働組合組織や職場内に影響をあたえることなく定年を迎え、大企業職場から去って行った。IHIの事例に日本の民間大企業職場の左派活動家の一つの軌跡を見いだすことができる。

 さて、桜井さんは、「一企業一組合」論だけでなく「複数主義も認知されるべき」だとして、この運動が進まないのは、「勇気・確信の欠如、政治的方針の影響」からとしている。
 本書全体を紹介できないが、ぜひ読んでほしい。残念ながらWEB上には書評が出ていないので、「現代労働組合研究会のページ」にはUPできない。
「現役の労働運動家」の人たちには、「脱○○○○主義」で奮闘してほしい。
 編集子は「日本国憲法にもとづく労働組合宣言」のみが、青年・非正規労働者・女性労働者・「奈落の貧困老人へ突き進んでいる中高年労働者」へ勇気を与えると確信している。
▽追記(2017.04.30)
「希流」さんのtwitterより。
全造船関東の結成大会
 https://twitter.com/kiryuno/status/833167858032992257
 ▽追記(2016.11.01)
全造船機械の加盟ナショナルセンターは連合。全造船機械の組織状況は厳しく、組織形態を造船以外の労働者も加盟できる合同労組とするも、なおも組織状況は厳しい状態が続き2015年9月4日から翌日にかけて開催された大会で組織の解散を決定、翌年9月9日に開催された84回大会において解散した.。(Wikipedia より)
 「社会新報」(2016年9月21日号)で報道
 全造船機械労組(全日本造船機械労働組合、永田利治委員長)は9日、都内で開いた結成70周年の第84回定期大会で解散した。全造船の結成は46年9月1日。
    

 大会に引き続いて開いた報告会のあいさつで永田委員長(大会まで)は、第2組合結成・組織分裂攻撃や海運・造船不況を受けた合理化の歴史を振り返り、「全造船機械の歩んできた道程は苦難、苦闘の連続」と述懐。組合員数の減少から中央産別組織としての維持存続は困難との結論に至ったことについて「これ以上先送りできない課題と受け止め、総合的な視点観点に立ち責任ある判断、決断として下した苦渋の選択」と述べ、理解を求めた。その上で、これまでの組合員、先輩組合員、その家族の労苦と共闘関係者の支援に敬意と感謝の意を示し、「今後も組織を存続し運動を継続する各分会に対して変わらぬご指導ご鞭撻(べんたつ)、ご支援ご協力をお願い申し上げる」と述べて、報告を結んだ。
 来賓あいさつで社民党の又市征治幹事長は、「全造船の歴史は合理化との闘いの歴史」と述べ、職場の闘いに加えて対政府制度政策闘争、平和と民主主義を守る闘いにも奮闘してきた全造船の歴史に敬意を表明。「70年にわたって闘ってこられたこの歴史に誇りを持って、これからのさまざまな社会における取り組みにご参加をいただきたい」と述べ、組合員の今後の取り組みにエールを送った。
 (追記)造船産業における少数派運動、造船問題研究家・小川善作、『労働法律旬報』(1186号)、1988―2―25
▽追記(2016.12.01)三菱長崎造船第一組合を描いたドキュメントがある。
『三菱帝国の神話――巨大企業の現場・労働者群』(今崎暁巳著、労働旬報社、1977年2月刊)           (PDF復刻版)
   http://e-kyodo.sakura.ne.jp/imazaki/index.htm
 序 章 三菱は国家なり――神話を支える巨大企業の実相と体質
第1章 人間・職場の破壊――分裂が職場と労働者にもたらしたもの
第2章 三菱帝国の支配のアミ――ピラミッド支配を支える考え方・組織とその実践
第3章 人間の働く職場をめざして――不況・合理化下で変わりはじめる職場
▽本ブログで紹介:長崎造船社研・左翼少数派労働運動の軌跡
  
http://okina1.cocolog-nifty.com/blog/2015/10/post-3925.html
▽「造船産業合理化から地場産業を守る闘い」(元全日本造船機械労働組合中央本部書記長 大河内俊雄、静岡社会文化協会) 
 http://e-union.sakura.ne.jp/tokyo-sougidan/index.html#ronbun-kenkyusya
 ▽『未踏の挑戦 造船産業再編合理化の航跡』(全日本造船機械労働組合編・労働旬報社・1981年9月1日発行)⇔本書は、先輩の加藤芳雄さん(故人)が編集した。

    








2023.11.05
   


◇労働者をどう組織化するか

労働者をどう組織化するかーーブラック企業と闘うために続けた4年間にわたる研究成果を世に問う、
「ブラック企業」が社会問題化している現在、その打開のカギは、労働者と労働組合の組織強化になる。そのためには、労働法学においては「自制」されてきた組織論の研究を含む総合的な研究が、いま本格的に必要となっている。
2011年、学際的、理論ー実践協働的、「老青同盟」的、中央ー地方協働的につくられた「労働者・労働組合組織論研究会」が、十数回にわたって議論を深めてきた。
「狐人主義」の世の中において、どう労働者の「つながり」をつくるのか。その成果がここに明らかになる。

    

 




2023.08.27
桜井善行稿




  
       (全文,PDFで読めます)









2023.08.27
桜井善行稿――出版当時の「経歴と業績」
  




  
       (全文,PDFで読めます)



2023.08.27
飯島信吾(「ある編集者のブログ」にUP)
(2020年05月19日(火))


:櫻井善行さんの『企業福祉と日本的システム――トヨタと地域社会への21世紀的まなざし』を紹介。
『企業福祉と日本的システム――トヨタと地域社会への21世紀的まなざし』(ロゴス刊、2019年11月)

   





2023.08.27









  
       (全文,PDFで読めます)



2023.08.27

飯島信吾(「ある編集者のブログ」にUP)


 2012年9月17日 (月)
ネッスル日本の経験――インフォーマル組織物語 Ⅲ
http://okina1.cocolog-nifty.com/blog/2012/09/post-fa49.html


  華麗なるテレビCMの裏側で
 今回は、インスタントコーヒーの製造・販売会社で、1960~70年代の高度成長社会で、テレビをはじめ斬新なCMで一躍、日本の消費者の心と嗜好をつかんだ外資系のネッスル日本。
 この会社にも、日本人の昇進昇格的人生で躍らせて、インフォーマル組織が暗躍していた。

 私たちは、『雪とふきのとう――雪印の陰謀を追って』(門倉 訣著、労働旬報社、1981年、その後、第一次争議を解決後出版した『自立する労働運動: 知られざるインフォーマル組織』、吉村宗夫著、労働旬報社、1983年の2冊)を出版し、社会的に警鐘を鳴らし続けていたときに、ネッスル日本労組東京のSさんが訪ねてきた。
    
   


 「どうもうちの会社もインフォーマル組織が暗躍し始めたようだ」という相談だった。
 その後、今日までネッスル日本の労働者のたたかいが始まっている。以下にWEB上に読めるものを書いておく。
 国連人権委へのレポート――「国連人権委員会へのカウンターレポート」(2004年6月30日付)の全文です。 
 多国籍企業に国際労働基準を守らせるたたかい  ネッスル日本労働組合
  http://www.tcn.zaq.ne.jp/njlu/page100.html
  ▽ネッスル電気主任技術者解任等
 昭和57(ワ)650 昭和63年06月07日 静岡地方裁判所
  http://hanrei.biz/h71315

 ▽四半世紀に及ぶ最悪の労働争議(2008年の「週刊金曜日」10/13日号)より
 ネスレ日本は八〇年代初頭、当時二〇〇〇人以上の組合員を擁し、賃金・権利闘争に底力を発揮したネッスル日本労組を嫌い、会社派による乗っ取りを画策、これに失敗すると八三年、御用組合(第二組合)を旗揚げさせた。組合の分裂以降、会社は、利益誘導や脅迫などありとあらゆる手段を使って第一組合員への脱退工作を仕掛ける一方、脱退を拒んだ労働者には職場八分や暴力、賃金・仕事差別などさまざまな人権侵害を繰り返し、第一組合を一〇〇人未満の少数派に追い込んだ。
 http://blogs.yahoo.co.jp/cyoosan1218/40534669.html

 【保存版】いま島田工場で(2006年4月)
 島田工場の不当労働行為をリアルタイムでお伝えします
  http://www.tcn.zaq.ne.jp/njlu/page158.html
 ブログ「薔薇、または陽だまりの猫」で2000年代の最高裁判決までの経過参照。  http://blog.goo.ne.jp/harumi-s_2005/s/%A5%CD%A5%C3%A5%B9%A5%EB
 
 Sさんは、当時、東京争議団運動の中核になった沖電気争議をよく知っていて、70年代の東京・北区での日本製紙争議を家族が直面した経験がある誠実の人だった。何回か話していると、どうしても労働組合を残したいという強い思いを持っていた。
 Sさんの話を総合的に読み取ると、すでに東京、神戸、霞ヶ浦工場、島田工場、日高工場で争奪戦が始まっていた。
 どのように対応するか、東京レベルの組合執行委員会で、「インフォーマル組織のつくられ方、なぜ秘密労務組織といわれているのか、外部の労務屋のビジネス戦略、企業内部の不安材料、外資における企業戦略」などを、自由に話し合った。
 そのとき、「ネッスル日本のモノカルチャ・ビジネス戦略をどう思うか」と聞いてきた執行委員がいた。その中身は、インスタント・コーヒーの単品ビジネスへの不安だった。華麗なるテレビコマーシャルの影に、日本人社員には未来への不安が沈殿していた。
 当時、多国籍企業という概念が労働組合運動の中では希薄で、その実態についても不明な人が多かった。私は、教育社の新書版で『多国籍企業』(1978年)を書いていた評論家・水沢透さんを訪問し、その実態について、特に日本に進出しているネッスルなどの総合的企業戦略のレクチャーを受けて、その場に臨んでいた。
 「わが亡き後に洪水はきたれ」の精神を地で行く、ヨーロッパ独占・多国籍資本の企業ビヘイビア(軍需産業・薬品産業などが著名だった)のすごさと強引さを日本で展開するために、いまインフォーマル組織が登場している、と話した。
 Sさんに代わってN副書記長が、「東京レベルで相談できる労働組合運動のリーダーを紹介してほしい」という相談があり、ネッスル日本東京本社(?)がある中央区労協のSさんやニチモウキグナス労組のAさん、同ニチモウキグナス労組の顧問弁護士をやっているBさんをなどの名前を挙げ、会ってみたらどうかと話した。「第一組合」を残す戦略は、実践家に担ってもらった。
 その後、N副書記長といっしょに茨城の霞ヶ浦工場を訪問したが、私よりも若い無垢な青年労働者たちの元気さと反比例するように、その後の彼らへの攻撃のすごさを予感し、「身震い」をしたことがある。彼らへの攻撃の事実は、上記の「週刊金曜日」を読んでほしい。
 ここからは危ない話。企業への不安を語っていた執行委員数名が、会合のあと私を酒席に誘ってくれた。飲むのも取材のうちと思っていたが、その席にはSさんがおらず、「変だな」という思いがあった。
 執行委員たちは、口こもごも職場の変化や見通しを語り、やっぱり「労務屋さんに誘われて学校に行っているものがいる」「見通したとおりだ」と話しかけてきた。
 「2軒目に行きましょう」という調子のよいお誘いに、ついつい誘惑されて連れて行かれた場所が新宿歌舞伎町の中の「ゲイのジュータンバーだった」。
 「みんなずいぶんお金があるんだな、ネッスルはそんなに金を貰っているのか」、とふとよぎったのは事実で、酒が進むと、ゲイのショーが始まり、パンツにおひねりを差し込んで喜んでいた。しまいには、執行委員代表格のメンバーの一人が「どうですかお一人」という暗示をかけてきた。
 「ハッ、とさせられた」。これはやばいぞ、という声だった。
 ある先輩から教えられて読んでいた小説家・黒岩重吾の世界に足を踏み込んでいたわけだ。彼の本を読んでいなければ、「危ない世界」へ陥落していた。
 その後の話だが、彼らは自らのインフォーマル組織をフォーマル化して組合乗っ取り戦略を発動した。やっぱり金があったのだ。


2012年9月18日 (火)
ネッスル日本の労務屋さん――インフォーマル組織物語Ⅲ―2

 戦後の日本労働問題におけるインフォーマル組織の分析をした研究者のお一人、山本潔さん(東大名誉教授)は(東芝の扇会を研究、「大企業の労資関係──“フォーマル”機構・“インフォーマル”組織──」、山本潔『論文集「労資関係・生産構造」』2000年,ノンブル社所収)、下記の書評で、インフォーマル組織についていくつかのタイプを紹介している。

 ▽書評と紹介:金杉秀信著『金杉秀信オーラルヒストリー』評者:山本 潔(大原社会問題研究所雑誌 No.627/2011.1)
http://oohara.mt.tama.hosei.ac.jp/oz/627/627-05.pdf
ネッスル日本の場合、そのうちの一つ、[会社の人事担当セクションと社外の職業的労務対策機関との協働のもとにつくられたもので,その代表的事例は東芝の「扇会」であり,似而非「自発的」な非公開丸秘(○の中に秘)の労務対策のための“インフォーマル”組織である。]――これに近い労務屋さんが関与したことを示す判決文がある。
 この判決で書かれている事実は、アメリカ海軍極東輸送司令部で人事・労務と日本コカコーラ株式会社で人事を担当していた人物→総評全国金属のNCR労組(当時は、ナショナル金銭登録機といったはず)の乗っ取りの人物などの外資系労務ネットワーク(人脈)が登場していることがわかる。
 いつか書いたが、労働問題は「企業小説社会」の表面なのだ。

ネッスル電気主任技術者解任等
 昭和57(ワ)650 昭和63年06月07日 静岡地方裁判所
http://hanrei.biz/h71315
 (3) 被告会社の組合敵視の政策について
  ① 被告は、ネッスル日本労働組合が設立された昭和四〇年一一月から数年間は、いわゆる外資系の企業として職場の労働条件を整備するために、右労働組合ともある程度妥協してきた。しかしながら、右労働組合が、昭和四六年五月の労働協約獲得後、昭和四七年四月以降春闘でストライキを行ったり、昭和四九年秋以降秋闘を組織したりして、また頚肩腕障害問題に組合が本格的に取り組むようになって、組織が強化され、運動が前進してくるとともに、被告は組合を敵視するようになった。被告は、昭和四八年に労務専門部として労務部を設立した。昭和五〇年には、人事部にaを入れた。同人は、アメリカ海軍極東輸送司令部で人事・労務を、日本コカコーラ株式会社で人事を担当していた人物であった。そして、昭和五一年四月には、やはり外資系の企業である日本NCR大磯工場で人事・労務等を行う総務部長をしていたbを労務部長代理として入社させた。さらに、昭和五二年三月には、やはり日本NCRにおいて労働組合の書記長をしていたcを労務部に入れた。同人は、全国金属労働組合NCR支部の書記長をしていたが、同組合の右翼的分裂に積極的に加わり、自らも第二組合に走った者であった。このように、被告は、人事・労務に、外資系の企業の人事・労務部門を専門的に渡り歩く者や、労働組合内部にあって組合を使用者に従属させるように変質させてきた者を配置してきた。そして、昭和五二年には、労務部を社長直轄とした。これらは、昭和五六年以降顕在化したインフォーマルの動き、組合分裂策動の布石であった。こうした中で、労働組合と会社との労使関係は、緊張化を増した。昭和五三年三月には、右aが社員研修会において、組合の頚肩腕障害に対する取り組みを弱くするため、また組合不信を社員につのらせることを意図して、不当な組合攻撃発言を行った(以下「a事件」という。)。このa事件については、昭和五三年四月、兵庫県地方労働委員会に不当労働行為の申立がなされた。その後、労使関係は極度に緊張し、裁判所・地方労働委員会に係属する事件が急増した。

② 被告労務部は、昭和五七年六月一八日以前から、キースタッフ(課長以上の管理職)に宛て、秘密文書「CONFIDENTIAL」を作成し、その内容を会社に周知させた。それは、ネッスル日本労働組合の本部批判であり、本部執行委員会が共産党系であるとか、弁護団が共産党系であるとするもので、徹底した「アカ攻撃」をしている。被告が、ネッスル日本労働組合のたたかう姿勢を敵視していたことは明白である。これらの攻撃は、右キースタッフを経由して、文書そのもの、あるいは会社教育等を通じて下級職制にまで徹底されていた。

③ 被告は、昭和五六年になって、管理職が中心となり労働組合の転覆を目的として、下級職制を結集して、インフォーマル(非公然)組織を作った。右のインフォーマルの動きとして、昭和五六年の春闘のスト権確立投票において、×印(ストに反対の意)をうつよう組合員に工作してきた。また、昭和五六年の第一六回全国大会の組合本部役員選挙に当って、インフォーマルのグループは、はじめて定数一杯の対立候補者を立てた。これらのインフォーマル派の主張は、「組合の本部は闘争至上主義だ。」とか、「本部提案の公認会計士は共産党系だから変更しろ。」とか、労働戦線の統一問題については、「本部の方針は、統一労組懇の主張と同じだ。」などというもので、くしくも、前記秘密文書の論調と全く符号するものであった。被告は、右インフォーマル組織を使って、昭和五七年八月には、第一七回全国大会の役員選挙に介入し、各種の選挙干渉をさせた。また、同年一一月には組合本部を分裂させ、同年一二月以降は、全国各地の組合支部を分裂させた。島田支部は、一二月一九日に事実上分裂したが、被告は、この選挙に当って第二組合づくりのために支配介入を行った。


2013年10月 5日 (土)
ネッスル日本労組の争議和解

 ネッスル日本労組の争議の和解について、全労連のHPに告知されている。
  http://www.zenroren.gr.jp/jp/

 ■【声明】ネスレ争議和解にあたって(声明)(2013/10/01)
http://www.zenroren.gr.jp/jp/opinion/2013/opinion131001_01.html

 本日、「OECD・多国籍企業ガイドライン」(「ガイドライン」)が目的とする「多国籍企業とこれらの企業が事業展開する地域社会との間の紛争防止と信頼向上を実現させる」観点から、スイスのネスレ本社と全労連の確認のもとに、兵庫労連並びにネッスル日本労働組合とネスレ日本(株)とが合意書を交わし、31年の長期にわたるネッスル争議は和解しました。

 声明にあるように、「31年の長期にわたる」争議だった。本当にお疲れ様でした。
 ▽「ブログ・シジフォス」(現在はダウン中)には、争議にかかわる経過・特徴・問題点など以下のように引用してある。
>ブログ・シジフォス「組合員がいなくなっても団交応諾命令②」( 2010/11/05)
 http://53317837.at.webry.info/201011/article_5.html
 3年前は、実に真面目に法律と向き合っていた自分を見るので過去ログは赤面の至りだが、争議の詳細をここに記しても悩みがつのる一方なので、いくつかの記事を掲げておくこととする。興味ある方はご参照頂きたい。
>当該HP「ネスレが組合つぶし、人権侵害 1980年代から20年間のあらまし 」
 http://www.tcn.zaq.ne.jp/njlu/page030.html
>ブログ・薔薇、または陽だまりの猫より「世界で最も倫理性が疑問視されている企業ネスレ/ネッスル日本労働組合」(2006-03-26)
http://blog.goo.ne.jp/harumi-s_2005/e/c422f62b7aea81a546efaa05fdd3f7ba
>OECD指針に違反 ネスレの人権侵害ただす 笠井議員(赤旗、2007.6.7) 
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2007-06-07/2007060705_02_0.html
>東京東部労組HP・労働相談・労働組合日記( 2008年2月5日)より煮えたぎる怒り」及び『週刊金曜日』(10/13日号)より「ネスレで闊歩する法令無視-最高裁も断罪した労組攻撃」
 http://blogs.yahoo.co.jp/cyoosan1218/40534669.html
>ある編集者のブログ「ネッスル日本の経験――インフォーマル組織物語 Ⅲ」(2012年9月17日)
http://okina1.cocolog-nifty.com/blog/2012/09/post-fa49.html

 HPの元がなくなっていたので心配していたが、「ネスレ日本争議の概要」のページに上記[ネッスル日本の経験――インフォーマル組織物語 Ⅲ」(2012年9月17日)]で書いたSさんがいた。
 http://www.tcn.zaq.ne.jp/njlu/page028.html

 当時、お会いした方々は、すでに定年で自己の人生を歩んでいると思うが、次の世代は、少数だがまだまだ「まっとうな労働組合」をになっている。
 なんらかの知恵を提案することが、編集子の責任だと思っている。
 
 ▽追加(13.10.07)
 神戸新聞のWEB版で以下のように報道された(2013/10/7 07:04)。
http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/201310/0006399872.shtml

 ネスレ日本と労組 30年の労使紛争終結
 約30年にわたり労使紛争が続いていたネスレ日本(神戸市)と、同社の少数派組合「ネッスル日本労働組合10+ 件」が6日までに、紛争終結で合意した。労組によると、組合員の遠隔地異動や解雇などで訴訟や労働局への申し立てに至った紛争は、計100件以上に上った。
 関係者によると、1982年から83年にかけ、会社介入でネッスル日本労働組合10+ 件が分裂。多数が新組合に流れ、同労組は少数派に転じた。それでも当時、組合員は300~400人いたが、長引く紛争で6人に減った。
 裁判では会社の敗訴が相次ぎ、2005年には労組側が、経済協力開発機構(OECD)の多国籍企業行動指針に違反すると主張し、OECD日本国連絡窓口に申し立てていた。
 合意は今月1日付。「ネスレ日本は過去の裁判所、労働委員会の判決、決定内容を真摯に受け止め、順守することを表明する」とし、「人権侵害、いじめなどの疑いが持たれる可能性のある行為がないように努める」などとした合意書が、同社と同労組、同労組の上部団体である兵庫県労働組合総連合(兵庫労連)の間で交わされた。また、過去の紛争について、双方が金銭の請求をしないことなどを約束した。
 同社は「OECDなどのグローバルガイドラインを全面的に支持する。各国の法律を順守し、事業活動全般で人権を守り、労働慣行の模範となるよう努めたい」とコメント。同労組の播戸夏樹委員長(60)は「わずか6人の組合と会社が和解したことは評価できる。組合のあり方を若い人に示すことができた」と話していた。(中部 剛)

 ▽追加(03.10.09)
 「きっと勝つ」 争議31年――ネスレ労働者 和解への道程
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-10-08/2013100805_01_1.html
 ネッスル日本労働組合と兵庫労連は、世界最大の総合食品メーカー、ネスレ(本社・スイス)の日本法人ネスレ日本(神戸市)に対し、対等の立場で労使関係を正常化させました。31年の争議をふりかえりました。 (田代正則)
 「長い争議だったが、負けなかった。つぶされなかった」とかみしめたネッスル日本労組の播戸夏樹委員長。1日、日本語と英語の合意書にサインしました。
 今年7月に60歳の定年を迎え、1年更新の契約で雇用継続しているところでした。「職場にいるうちに解決できた」
 解決を心待ちにしながら、31年のあいだに職場を去っていった労働者もたくさんいました。

 組合分裂の攻撃
「ネスカフェ」「キットカット」などで日本に定着しているネスレ。日本で営業を始めて、今年で100年です。
 ネッスル日本労組は1965年に結成され、頸肩腕症の問題を取り上げたり、労働者が健康に働き続けられる職場づくりのために要求をとりあげていました。それを嫌悪した会社は、組合を破壊するためのインフォーマル組織をつくりました。
 82年~83年に、組合分裂の攻撃が仕掛けられ、ネッスル日本労組は職場の少数派に追い込まれました。
 組合は、裁判闘争で、会社を断罪する命令・判決・決定等を100件以上勝ち取っても、会社の攻撃が続きました。
 転機は2005年、経済協力開発機構(OECD)が多国籍企業に責任ある行動を求めた「OECD多国籍企業行動指針」に沿って、組合側が、労働者の権利侵害を申し立てたことでした。
 申し立ての当初は、日本政府に設置されたOECD連絡窓口で手続きが停滞しました。日本共産党の笠井亮衆院議員が、07年6月に国会質問で取り上げたことで進展しました。
 指針の枠組みでは、法的拘束力のある決定を出しません。代わりに紛争が解決するまで年次総会に報告され続けます。早く解決しないと、企業の信頼が低下します。

 本社が姿勢転換
 多国籍企業であるネスレは、世界各地で指針違反の申し立てを受け、近年、スイス本社は姿勢を転換し、現地法人に対し「どのような少数組合とも話し合いの場を設定すること」を奨励していました。
 和解内容の履行の確認書には、ネスレのスイス本社役員と、全労連の大黒作治議長が名前を連ねました。全労連に結集し、ネッスル日本労組と連帯する日本のすべての労働者が見届け人となったのです。
 「これで、職場で気軽に話ができる」と前海明(ぜんかい・あきら)書記長は、しみじみ話します。
 これまで、会社の圧力で、ネッスル日本労組の組合員とは、あいさつもできない雰囲気がつくられていました。職場の人間関係が深く傷つけられてきました。
 播戸委員長は、「きっと、少しずつ慣れていきます」と職場の仲間へ信頼を込めています。「これまでなかなかできなかった、職場の要求を集め、合理化とのたたかいや、労働条件の向上に取り組んでいきたい」[「しんぶん赤旗」、2013年10月8日(火)]

 ▽追加(13.10.10)
  明日へのうた(戸塚秀夫)――労働運動は社会の米・野菜・肉だ。
  http://shosuke765.livedoor.blog/(いまはこのページへ)
  http://blogs.yahoo.co.jp/shosuke765

 ネスレ日本の長期争議解決を喜ぶ
 スイスに本社のある多国籍企業「ネスレ日本」の労働争議が、31ぶりに和解協議でで解決した。7日付『赤旗』によると、「多国籍企業に対して責任ある行動を求めた、経済協力開発機構(OECD)の『多国籍企業行動指針』にそった手続きで解決した日本初の事例です」ということだ。
 ネスレ(当時の社名は「ネッスル」)の労使紛争が都労委に不当労働行為事件として申し立てられたのは1983年6月1日だった(昭和58年不56号事件)。この事件は団交応諾を求めるものだったが、組合員1人の降格配転事件(58不57)、チェックオフ分返還請求事件(58不66)と続いて申し立てられた。
 担当委員は、公益・高田、使用者・兵頭、労働者・戸塚で、代理人は組合側古川弁護士、会社側青山弁護士とそうそうたるメンバー。おれは労働者委員6年目で46歳。自分でいうのもなんだが「脂の乗り切った」時期で、百戦錬磨の兵頭さんや青山弁護士と丁々発止やり合って一歩も退かなかったものだ。
 組合は、会社が申立組合の存在を認めず①団交を拒否し②チェックオフした組合費を別組合に交付していると主張。会社は、お互いに本家争いをしており明確に組合分裂とは言えないので団交応諾を保留しているだけだと弁明していた。結局、56号、66号事件を併合して、84年7月30日付で組合主張をほぼ認めた救済命令を発した(①団交応諾、②チェックオフの禁止と別組合に交付した組合費の返還)。
 その後、茨城工場での組合員解雇事件も起こり、中労委、地裁、高裁、最高裁から会社断罪の命令・判決・決定が100件を超える長期のたたかいになった。今回、①団交応諾、②人権侵害・いじめなどを行わない、③人事異動の事前協議、④命令・判決の順守、の内容で和解に達するまで31年を要した。
 和解確認書の調印は1日、スイス本社人事労務管理責任者エンリケ・エルダー氏と全労連大黒作冶議長の間で行われた。この調印式の写真が7日付『赤旗』1面に載っている。大黒、エルダ―両氏が握手している後ろに、最初からこの争議をたたかってきた斎藤勝一さんの姿が写っている。感無量だろう。
 これでおれが関わった長期争議は「明治乳業」を残すのみになった。明乳争議の未解決の原因はあげて都労委にある。限りなく愛着のある都労委だが、明乳に関しては憎しみを禁じ得ない。

 ▽追加(13.10.13)
  解決してもメディアは報じないネスレ争議の意義、シジフォス、 2013年10月10日(ちょいと長いので失礼します。下記のアドレスをクリックして下さい。ダウン中)
   http://53317837.at.webry.info/201310/article_10.html

 ▽追記(2014.01.06)
 全労連のツイッターを読み直したら、下記の集会報告がYouTubeにUPされていた。
 弁護士のHさんからきついメッセージが発せられていた。

 ネッスル争議和解報告集会-2013年11月29日
 zenrorenweb·
   


 公開日: 2013/12/11
 2013年10月1日。31年の労働争議をたたかってきたネッスル日本労組が、会社と­和解しました。11月29日に全労連会館で行われた和解報告集会の模様です。

https://www.youtube.com/watch?v=rmYgVoQSxnc

 










2022.12.01

 △上をクリックして、別のページで紹介しています。

 



▽2023.7.28
吉村宗夫
(facebookで発信、2023年7月20日)
#最低賃金を1500円にあげろ!
最賃小委員会が航空会館で開かれるに合わせ、全労連、全労協などの主催で会館前宣伝をしました。
全印総連柳澤委員長と一緒に参加。
印刷ユニオン٠大日本印刷分会も結婚し、家庭をもち子育てするには、最低賃金1500円、最低年収400万円が必要、を訴えました。


△上の写真をクリックして、吉村さんのfacebookへ。

2023.05.20
飯島信吾(「ある編集者のブログ」にUP)
(2023年03月31日分)

(株)大日本印刷の非正規労働者たちが労働組合を立ち上げた


すごいな「あかつき印刷労働組合」「千代田区労協」の間に「大日本印刷分会」の幟がある。私が取材して議論した東電や石川島、東芝、松下電器、日本鋼管などの1980年代の組合活動家が、生きていたら「ビックリ!」だろうな。



吉村宗夫
5月5日 17:27 ·
*憲法記念日に「2023憲法大集会」に参加。
有明防災公園は2万5千人の参加者で埋めつくつくされ、平和憲法を守ろう、とシュプレヒコールが続きました。
全印総連の隊列は元気にデモ行進しました。


△上の写真をクリックして、吉村さんのfacebookへ。





2023.08.27

   △上をクリックしてPDFで紹介しています。


2023.08.27

造船産業合理化から地場産業を守る闘い 元全日本造船機械労働組合中央本部書記長 大河内俊雄、静岡社会文化協会 
△上の橙色をクリックしてPDFで紹介しています。





2023.08.27








  
       (全文,PDFで読めます)





2023.08.27








  
       (全文,PDFで読めます)






  








2023.06.11
 


2023.06.11
飯島信吾(「ある編集者のブログ」にUP)
(2023年06月11日分)


 長文になりますが、私は1980年代の「インフォーマル組織型労働組合」(JC・同盟路線)に対抗する運動として、総評とともに東京争議団運動、企業の枠を超えた全国金属の運動、産業別労働組合運動を作り始めた関西生コン、そして社会的底辺からの労働組合づくりに成功したニコヨンさんの全日自労、そのリーダーとしての中西五洲さんに注目してきた。
 「君は知っていますか『全日自労』という労働組合」ウエブサイト資料。
 http://okina1.cocolog-nifty.com/blog/2017/04/post-630a.html     
そのうえで現代に即して考えると「労働組合運動と協同組合運動の結合」も事業団運動から学んできた。
 
http://e-union.sakura.ne.jp/workes-law/index.html
 
私たちの先輩にあたる角瀬保雄さん(故・法政大学名誉教授)さんは、中西五洲『理想社会への道』の出版にあたり、その意味を次のように書いている。
  https://inhcc.org/jp/research/news/kakurai/20050516-kakurai.html

≪(2005年)3月28日、総評会館で中西五洲さんの新著『理想社会への道』(同時代社)の出版記念のつどいが開かれました。中西さんは有名な中西 4 兄弟の末弟で、法政大学在学中の 1943 年、治安維持法で逮捕され、戦後マッカーサー指令で釈放された人で、全日自労の創立にかかわり、初代委員長になり、民革路線の提唱で知られています。同時に三重県民生協の創立、中高年雇用福祉事業団の創立、高齢者生協の創立と、今日の労働者協同組合運動の生みの親といえる人です。労働組合運動と協同組合運動の双方にかかわりをもつ数少ない社会運動の指導者といえます。
その中西さんが 80歳でパソコンを習い、3年間かけて完成させたのが『理想社会への道』です。私は10数年前、黒川俊雄先生や中西さんと一緒に協同総研の創立に関わったことがありますが、以来日本の改革のためには労働組合運動と協同組合運動が手を携えていくことが必要と考えてきました。しかし、労働組合運動は協同組合運動に十分な理解をもたず、協同組合運動も労働組合運動に理解をもちえないでいるというのが現実といえます。≫と記している。

その大事な記録として2015年2月23日に発行したのが、『君は知っていますか「全日自労」という労働組合――中西五洲の思い出+「機関紙じかたび」(PDF版)――現代労働組合研究会・飯島信吾編』だ。
このページ内では松澤常夫さんのことも触れている。
労働者協同組合運動とその法の実現があっても、著名な弁護士は「崇拝」と書いているが、社会政策、経営学、法学、社会的経済、労働組合運動、協同組合、自治体運動の研究者と実践家による協同によって実現したことを読み取ってほしい。
新しい労働組合運動は「企業の枠内ではない、産業別自立労働組合」路線として、大衆運動の法則にのっとり民革路線でつくられるはずだ。その参考資料になると確信している。



■主な目次
◇中西五洲さんの略歴
 1922 年三重県多気町に生まれる。1941 年法政大学入学、中退。1943 年治安維持法で逮捕、懲役 3 年の実刑。1945 年
10月マッカーサー指令で釈放。1950年松坂の失業対策事業に就労。自由労組をつくる。1953年全日本自由労組(全日自労)
を結成、初代委員長。断続的に 3 期 18 年間委員長をつとめる。1972 年三重県民生活協同組合を設立。以後 18 年間理事
長をつとめる。1979 年中高年雇用福祉事業団全国連合会を創立。初代理事長
◇解説 飯島信吾 
 1 中西五洲さんの思い出
 2 続・中西五洲さんの思い出(そのつづき)
 3 大衆運動における法則性―中西五洲さんの思い出・その3
◇主な論文・エッセイ抄
失対事業打切りに反対する―全日自労のたたかい、『部落』、部落問題研究所出版部、1962 年 9 月、152 号
大衆運動における法則性、『現代と思想』、青木書店、1978 年 12 月、34 号
総評改革と労働運動再建のために、労戦再編と統一労組懇 < 特集 >、月刊労働問題、1980 年 5 月、274 号
要求穫得に執念をもって進もう、81 年春闘読本―職場労働者編、賃金と社会保障、1980 年 12 月 10 日、807 号
『日本の労働組合運動をどう建てなおすか : 労働戦線統一 / 春闘再構築 / 大衆運動の法則性』、中西五洲著、合同出版、
1981 年 11 月
労働組合運動の民主的改革路線、中西五洲・永山利和、労働組合の民主的改革、1985 年 3 月――黒川俊雄慶応義塾大学教授の還暦記念論集
運動の立て直しをあくまで追求、労働運動の現在と未来 < 特集 >、月刊総評 / 日本労働組合総評議会、1982 年 1 月、
289 号
『労働組合のロマン : 苦悩する労働組合運動からのレポート』、中西五洲著、労働旬報社、 1986 年 2 月
「労働組合のロマン」と事業団運動、労働者協同組合と現代 < 特集 > ; 労働者協同組合と日本、賃金と社会保障、1986年 3 月 25 日、934 号
<随想>ゾルゲと尾崎さんのこと――サン・シャイン(元東京拘置所)を横に見て、中西五洲(中高年雇用・福祉事業団全国連合会)、協同総合研究所、『協同の発見』1992 年 1―2 月、第 5 号
ある活動家の追想と提言(ひとりごと)『部落』、部落問題研究所出版部
 ⑴  私の運動の原点――はじめにかえて  1992 年 8 月
 ⑵  自分の頭でものを考える       1992 年 9 月
 ⑶  大衆運動の法則性          1992 年 10 月
 ⑷  人類の危機             1992 年 11 月
 ⑸  協同の原理             1992 年 12 月
 ⑹  労働者協同組合           1993 年 1 月
 ⑺  徹底民主主義            1993 年 2 月
 ⑻  自立と協同と愛           1993 年 3 月
高齢者生協の創設をめぐって、特集 環境と地域社会への配慮、協同組合経営研究月報、協同組合経営研究所、1996 年 7月、514 号
輝かしい労協運動 20 年を振り返って、中西五洲、『21 世紀への序曲――労働者協同組合の新たな挑戦』(日本労働者協同組合連合会編、シーアンドシー出版 1999 年 9 月)(PDF版)
全日自労三重県本部の歴史をまとめるにあたって、手島繁一、協同の発見、1995 年 10 月、43 号
『皆でたたかった 50 年―全日 自労三重県本部の歴史』の刊行に当たって、手島繁一、協同の発見、1996 年 6 月、51 号
『理想社会への道―私の資本主義改造論』、中西五洲、同時代社、2005 年 2 月
中西五洲『理想社会への道』 法政大学経営学部名誉教授・角瀬保雄、非営利・協同総合研究所いのちとくらし「研究所ニュース」発行日 2005 年 05 月 16 日)、『友愛の社会を求めて』、中西五洲、同時代社、2009 年 11 月
▼発 行 2015 年 2 月 23 日
編 集 現代労働組合研究会
WEB   http://e-kyodo.sakura.ne.jp/roudou/sorezorenoroudou-4.html 







   ▼下をクリックしてPDFで全文をお読みください。
   


2023.06.11
【論文】全日自労の「民主的改革闘争」の意義、松澤常夫、「マルクス主義研究年報」、1980年版、NO.4、マルクス主義研究セミナー、芝田進午責任編集、合同出版 (PDF版)






2021.06.05
【参考】『週刊朝日』(2021年6月11日号))書評で紹介!
斎藤美奈子さんの書評:「ユニオンは下層労働者が貧困からはい上がるための武器」(木下武男著:『労働組合とは何か』、岩波新書)
   








2021.06.05
◇今野晴貴:yahooニュース
▽2021年4月18(日) 9:00
新入社員は労組に入るべき? 木下武男『労働組合とは何か』(岩波新書)から考える

今野晴貴NPO法人POSSE代表。雇用・労働政策研究者。
2021/4/18(日) 9:00


(提供:ideyuu1244/イメージマート)

 4月となり新入社員は社内の労働組合に加入するか悩んでいる場合も多いと思います。また、日本では企業別組合が主流ですが、日本の労働組合はあまり「役に立たない」ともよく言われています。
 そこで今回は、ちょうど4月に出た新刊、『労働組合とは何か』(木下武男著、岩波新書)を素材にして、そもそも労働組合とは何か、日本の労組はじっさいにあまり役に立たないのかといった疑問に答えていきたいと思います。


労働組合の機能とは
 
 日本の労働組合法は、労働組合の目的を「労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的」と規定しています。また、労働組合法は、その目的を達するための手段として団体交渉権、争議権などを定めています。
 なるほど、労働組合とは労働条件の維持改善その他の経済的地位の向上を目的とする団体だといわればその通りでしょう。労働組合は賃金など労働条件をめぐって企業と団体交渉を行うことを知っている読者も多いと思います。
 ところが、『労働組合とは何か』によれば、「労働組合の目的から、労働組合とは何かを考えようとすると、答えがわからなくなる」といいます。また、この目的という点だけから考えると、日本の労働組合がどう本来の労働組合と異なるのかも、わからなくなってしまうということです。 
 では、本当の労働組合を理解するカギは何でしょう。それは、労働組合の「機能」と、それを実現するための「手段=方法」です。
 まず、機能について著者は次のように説明します。
「労働組合の根源的機能とは「競争規制」である。労働者がバラバラにされ、相互に競争をさせられている。この状態に対して労働組合が労働者を結合させ、労働者同士の競争を規制する、これがユニオニズムに他ならない」(70頁)。
 今日の日本社会でも、仕事を求める人はたくさんおり、相互に競争しています。応募者が多ければ、賃金は需要と供給の関係から低い方向に移動していきます。そこに歯止めをかけているのが最低賃金法ですが、日本でも、最低賃金周辺の雇用が非常に多いのです。
 最低賃金以上の仕事を増やしていくには、労働者同士の競争の抑制が必須です。19世紀、労働組合を研究したことで有名なウェッブ夫妻は、競争を抑制する労働組合の機能は「共通規則」の設定によって実現すると説明しました。
 「(労働者が個別に使用者と交渉する) 個人取引」のもとでは 、労働者の生活はとめどなく悲化する 。その悪化をくい止めるにはどのようにすれがよいのか 。そこでウェッブが、当時の労働組合をつぶさに観察して探り当てた概念が「 共通規則」(コモンルール )である」(72頁)。
 賃金についての「共通の規則」が設定されれば、それ以下の仕事は許されなくなりますから、労働者間の低賃金へ向かう競争は抑制されます。その方法には、先ほども述べた最低賃金法のような「法律」という手段もあります。
 これに対し、労働組合は「集合取引」の方法によって、競争を抑制します。そして、「これこそが労働者間競争を規制する方法の中心的な位置を占めている」のです。
 例えば介護や保育といった特定の業種で、職種別の最低賃金を労働組合が業界団体と交渉して決めたとします。新任の介護士は時給1200円といった具合です。こうすれば、介護をしたい人がたくさん労働市場にいても、1000円、900円と最低賃金までさがっていくことはありません。
 これを実現するためには、もちろん前提があります。その業界の労働者のほとんどが組合に入っており、業界団体と交渉しなければ、「抜け駆け」が発生してしまうからです。だから、労働組合は同じ業種やおなじ職種でまとまって交渉する必要があるのです。
 いずれにせよ、労働組合の目的は労働条件の維持改善であり、その「機能」は「共通規則」にもとづく労働者間競争の規制であり、そのもっとも重要な「方法」は集合取引です。
 これが本書が示す「労働組合とは何か」ということの答えです。

日本の労組は役立たない?

 日本の労働組合の圧倒的多数は企業別組合です。おそらく、新入社員が加入を悩んでいるケースの多くも、企業別組合だと思います。では、日本の労働組合は、先ほどの労働組合の「目的」や「機能」、その「方法」の視点からは、どう評価できるのでしょうか。
 まず、「目的」に関しては、とうぜん企業別組合も労働条件の維持・改善を目指しています。「方法」に関しても、会社内の労働者が経営者に対して会社ごとの「集合取引」を行っています。社員の給与がどのように上がるのかなど、企業別組合は会社と労働協約によって取り決めをしています。
 このようにみると、確かに日本の企業別組合も、労働組合としての役割を果たしているようです。組合に入って集合取引に参加することで、労働条件の維持・改善ができそうに思えます。
 しかし、「機能」に着目すると、日本の労働組合は、労働者間競争を抑制するというその本質的な役割を果たしていないことがわかります。企業別組合は労働者間の競争を抑制していないからです。まず、一見して企業別組合は職種別や産業別の賃金を設定しませんから、労働者は企業間の競争に巻き込まれることがわかります。
 ある企業の賃金が1000円だとして、別の企業が900円だとします。すると、900円の企業はより安く製品をサービスを提供することができ、市場で有利に立ちます。すると、1000円の企業の労働者も、会社に「協力」して900円に引き下げることに同意せざるを得なくなってしまいます。つまり、「共通規則」が企業の中にとどまっていることで、ほとんど無効になってしまうのです。
 そうすると、労働組合もどんどん企業の利害と癒着していき、その交渉能力がなくなっていきます。実際に、私が日々経験する労働相談では、「社内の労組にパワハラを相談したが、上司に報告され、よりひどくいじめられるようになった」という相談が後を絶ちません。非常に残念なことです。結局、企業に閉ざされた交渉の「方法」が、労働組合の「機能」を発揮させないのです。
 また、『労働組合とは何か』では、特に年功賃金の問題を指摘しています。企業内の「共通規則」に思える年功賃金も、実はその競争抑制の機能を果たしていないといいます。
(年功賃金という)「この「 安定」のシステムは同時に「 競争」のシステムでもある 。「競争」のシステムは二つの仕組みからなっている 。まず 、職級は線のように描かれているが、それは幅をもった帯状の線だ。その線は上下各5%幅がある。その範囲で人事考課制度の査定がはたらく。この幅のなかで 、査定でよい評価を得ようと競争することになる」(191頁)。
 本書より引用した下の図をご覧ください。これは典型的な年功制を採用している東京電力の賃金体系ですが、年齢とともに右に行くほど、号数が上がり賃金が上がります。しかし、そのあの線の中にも上下5%の差があって、上がるか下がるかは企業が決められるということです。もちろん、その「査定」はどれだけ会社に貢献したのか、という「競争」を引き起こすことになります。
       
      『労働組合とは何か』190頁より。
 
 著者は続けて次のように指摘します。
 あと一つの「競争」は号俸のラインの進み方にある。号俸のラインを横に進んで、最後まで達して上位の職級に上がるのではない。それでは大幅な昇給はできない。実際には、いくらか進むと途中で上位の職級に上がることができるようになっている。この上位の職級へ上げるかどうかが、会社の裁量に完全にゆだねられている 。このことが決定的だ上位の職級に行けなければ昇給は遅々として進まない。この号棒における上下幅の査定と、早期の昇級を競い、他の従業員よりも早く昇進しようとして競争がなされる。このようにして企業内の労働者同士の「競争」システムができあがっている(同上)。
 このように、結局年功賃金は、労働者間競争を抑制する「共通規則」とは似ても似つかないものなのです。実際に、戦後日本社会では激しい出世競争が繰り広げられ、「過労死」を蔓延させました。日本発祥の「過労死(Karoshi)」は世界語にもなっています。
 日本で過労死が蔓延し、今日も収まらない重要な要因は、賃金に「共通規則」がないからです。そして、日本の労働組合が本来の「機能」を発揮していないことが、その理由なのです。
 さらに、共通規則の不在は労働を過酷かさせるだけにとどまりません。社内のパワーハラスメントやセクシャルハラスメント、いじめなども、上のように人事の裁量が大きいために、社員は批判できない構造ができあがっています。上の東京電力の例では、危険な原発に対し、従業員が声を上げることができなかった理由にもなったと指摘されています。労働組合の在り方は、企業の不祥事や産業の在り方とも密接に絡んでいます。

結局、労組には入るべきか?

 実は、日本の労働法は企業別組合に入ることを義務付けたり、奨励したりは一切していません。海外のように社外の労組に直接加入することは自由ですし、労働法はそうした労働組合も全面的に保護しています。
 そのため、社内労組に力ない場合には、外部労組に入ることも一つの選択肢になるでしょう。社外労組(コミュニティーユニオンや業種別・職種別ユニオン)では、賃金の未払いや解雇・雇止めに加え、パワーハラスメントなどの労働問題にも対応しています。
 とはいえ、『労働組合とは何か』が示したような「本来の労働組合」の機能は、社外労組であっても発揮できません。日本社会に広がる非正規雇用差別や「ブラック企業」の問題を解決していくためには、労働時間や賃金に対する「共通規則」を実現することが不可欠です。
 『労働組合とは何か』では、現在の労働組合を改革していく「方法」についても詳しく書かれています。労働組合を作ることや、現在の組合を改革することは、組合員の自由です。法律は労働組合の「機能」については、何も決めていません。だから、ほんとうの労働組合を作る担い手は、私たち自身だということになります。
 それではユニオニズムの創造というミッションをいったい誰が担うのだろうか。これまでみてきた歴史から、おのずと明らかだろう。担い手は一人ひとりの自覚した個人である。組織や他人から命じられたわけではない。自発的な意思にもとづく個人が、しかも、バラバラにではなく、相互に結びついた集団として自覚的に行動する。彼らこそ活動家集団(ユニオン・アクティビスト)である(274頁)。
 このような道を進むためには、現在は個人の問題や小さな企業の労使交渉を地域単位で担っている社外労組が職種別の「集合取引」を実現できるように発展することや、現在の企業別組合が職種別の交渉単位に組み込まれていく必要があります。本書では、一人一人の組合活動家の努力で、そうしたことを実現できる可能性があるといいます。
 少し長いですが、最後にその道筋を引用します。日本の労働組合に加入するということは、日本の労働組合を機能させていくために取り組むことともかかわっていることがわかると思います。
(社外の一般労組から発展する)業種別職種別ュニオンは、未来のゼネラル・ユニオンの「トレード・グループ(職種別の交渉単位)」として位置づけられる…それらが結合することで、やがてゼネラル・ユニオンの全国組織が生まれる。小さな営みはやがて大きな流れとなるだろう。
 今ある産業別の全国組織や合同労組、コミュニティ・ユニオンなどもこの方向に向けて改革をめざすことが期待される。企業別組合もユニオニズムを創造する流れに合流することだ。例えば企業別組合の中心メンバーが外部の個人加盟ユニオンに二重加盟するなどして、労働者の連帯のエネルギーを企業内に環流させることをつうじて「内部改革」は進むだろう。合同労組やコミュニティ・ユニオンも、そのなかにある業種別部会を地域的な交流や企業別組合の集合体にとどめることなく、だんだんと業種別の結集軸に発展させていくことが求められる。このことをなし得たら、業種別職種別ユニオンと、既存の労働組合の「業種別グループ」とが連携し、集団交渉も可能になるだろう。それをへて、業種・職種を結集軸にした労働組合の合同運動を展開する段階に入ることができる(272頁、()内は引用者)。
 日本の労働問題に取り組み、研究してきた筆者もこのような労働組合の改革は、日本社会を変えるために必須だと思います。ぜひ、実現できるとよいと思います。

おわりに

 今回は『労働組合とは何か』を手掛かりとして、労働組合とは何か、そして日本の労働組合の実情についてお話してきました。問題はなかなか根深いという印象を持たれた方も多いと思います。
 社内で問題があるとき、迷ったらまずは社外の労組を選択肢にいれることをお勧めします。個人の問題を解決するためには、それが一番近道です。そして、企業内に労組も積極的に活用し、問題があれば内部改革を目指していくことも長期的には重要です。私たち一人一人に、日本の労働社会の未来がかかっているのです。

▽社外労組の無料労働相談窓口
総合サポートユニオン
03-6804-7650
info@sougou-u.jp
*個別の労働事件に対応している労働組合。労働組合法上の権利を用いることで紛争解決に当たっています。
ブラック企業ユニオン 
03-6804-7650
soudan@bku.jp
介護・保育ユニオン
03-6804-7650
contact@kaigohoiku-u.com
*関東、仙台圏の保育士、介護職員たちが作っている労働組合です。
仙台けやきユニオン
022-796-3894(平日17時~21時 土日祝13時~17時 水曜日定休)
sendai@sougou-u.jp
*仙台圏の労働問題に取り組んでいる個人加盟労働組合です。
労災ユニオン
03-6804-7650
soudan@rousai-u.jp
*長時間労働・パワハラ・労災事故を専門にした労働組合の相談窓口です。

今野晴貴
NPO法人POSSE代表。雇用・労働政策研究者。
NPO法人「POSSE」代表。年間5000件以上の労働・生活相談に関わり、労働・福祉政策について研究・提言している。11月に『賃労働の系譜学 フォーディズムからデジタル封建制へ』を青土社より刊行予定。その他の著書に『ストライキ2.0』(集英社新書)、『ブラック企業』(文春新書)、『ブラックバイト』(岩波新書)、『生活保護』(ちくま新書)など多数。流行語大賞トップ10(「ブラック企業」)、大佛次郎論壇賞、日本労働社会学会奨励賞などを受賞。一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程修了。博士(社会学)。



2022.08.02up

  
   △上記をクリックして新ページへ。







2023.08.27

    Ⅰ はじめに
    Ⅱ 労働組合の目撃者と労働組合の根源的機能
    Ⅲ 労働組合と政治
    Ⅳ 労働組合の形態転換への注視
    Ⅴ 労働者の階級形成と労働組合
    Ⅵ 終わりに





  
       (全文,PDFで読めます)
  






2023.08.27

  主な「連合内」閉じこもりの論理!

連合内閉じこもり戦略を貫く理由――「ノート 社会主義協会派『連合運動 20年の検証と労働運動の課題』を読んで」、全国労組交流センター自治体労働者部会事務局、2010/7/25() 午後 2:01http://e-kyodo.sakura.ne.jp/roudou/120112yunionsyopu.htm#syakaisyugikyoukai

  
       (全文,PDFで読めます)
  


共産党の人たちも連合内「階級的民主的強化の担い手論」を課題としている大企業の共産党活動家への文書――経営支部の一部同志たちによる「連合」組合からの脱退と別組合結成の問題について(2000117日、神奈川委員会)http://e-kyodo.sakura.ne.jp/roudou/120112yunionsyopu.htm#communist

  
       (全文,PDFで読めます)
  

残念ながら、2020年代の今、この方針は貫かれ衰退していっている。








2022.08.30
   




 
 

 





   
   



 
▽2021.02.09
 




シーアンドシー出版の関連出版物
   
●『協働の未来に光あれ! パラマウント製靴の歩みと労働者生産協同組合へ』(パラマウント製靴共働社の石井光幸さんが編集した。シーアンドシー出版刊、1995年8月、B5判並製、400頁)
●『皆でたたかった50年――全日自労三重県本部の歴史』
全日自労三重県本部・協同総合研究所編、
シーアンドシー出版、1996年
46判上製
●『AARPの挑戦-アメリカの巨大高齢者NPO』
日本労働者協同組合連合会編
シーアンドシー出版
1997年10月、定価2,000円 (税別)、46判:257p







仕事おこしのすすめ 池上惇著
  シーアンドシー出版・協同総合研究所、1995年3月
  (PDF完全復刻版)


  1933年 大阪市生れ。
  1956年 京都大学経済学部卒業。同大学院経済学研究科、同助手、助教授を経て、
  現 在(当時) 京都大学経済学部教授・経済学博士・文化経済学会会長・財政学会理事・全国共同作業所連絡会顧問。その後福井県立大学大学院経済・経営学研究科教授、京都橘女子大学(現・京都橘大学)文化政策学部長・教授を歴任
 
  著 書 『地方財政論』(同文舘)、『管理経済論』(有斐閣)、『情報化社会の政治経済学』(昭和堂)、F人間発達史観』(青木書 店)、『福祉と共同の思想』(青木書店)、『経済学一理論・歴史・政策-』(青木書店)、『財政学』(岩波書店)、『文化経済学のすすめ』(丸善ライブラリー)、『生活の芸術化』(丸善ライブラリー)、『経済学への招待』(有斐閣)ほか多数。

  • 目次

  •   序 章 仕事おこしと協同組合
    ――労働者協同組合運動の展望によせて

     一 協同組合の原点と新たな位置づけ

     ◇協同組合運動の誕生 
     ◇働くものの生活を総合的に支援する仕事おこし運動 
      ――協同組合運動の基本的な特徴
     ◇悪徳ビジネスとの競争に勝てる条件を考えよう 
     ◇公正競争の権利・生存権保障・人間発達の権利、そして、情報化社会

     二 仕事おこし・地域づくり運動の現代的意義

     ◇「よい仕事」をおこす運動の発展 
     ◇「仕事おこし・地域づくり運動」の公共性

      第一章 日本における仕事おこし運動

     はじめに
     ――仕事おこし運動の今日的意義

     一 戦前の仕事おこし運動

     ◇協同組合運動として 
     ◇賀川豊彦のマルクス論 
     ◇「雇われもの意識の克服」
     ◇ラスキンから現代的に学ぶ 
      「主体的な人間の発達」
      当時の仕事おこしの実践例
      映画制作の意味

     二 生産協同組合の仕事おこしとは何かl

     ◇消費者欲求と結んで 
     ◇生きがいをもてる仕事の回復 
      ――生産協同組合の再生
     ◇生産協同組合はむずかしい、との指摘 
     ◇生活様式の変化と結んだ独自の方向 
     ◇全組合員で運営する経営

     三 現代の仕事おこし運動の可能性

     ◇生きがいをもてる仕事の回復 
      ――ドラッカーの指摘
     ◇ほんもの志向と対人サービスの増大 
     ◇素人から始め専門職を育てる 
     ◇まちづくりの視点と結びついた協同の運動 
     ◇多様な専門家の必要性の増大 
     ◇教育と福祉でまちおこし 
     ◇新社会資本レベルの活用 
     ◇まちづくりと農村とも交流して 
     ◇「よい仕事」と公的支援の追求の重要性 
     ◇不況から脱却へ

      第二章 現代の協同労働の可能

     一 現代の疎外と労働状況

     ◇疎外状況の広がり
     ◇「人間は馬より劣っている」か

     二 協同組合発展の基礎を考える

     ◇消費者の生きがいと結び
     ◇生協が日本で伸びた理由
     ◇生活の質を変える欲求の高まり
     ◇協同組合の高揚の意義
     ◇公共と自治体からの支援の高まり

     三 労働の人間化と協同労働

     ◇労働の人間化
     ◇「情報の共有化」とネットワークづくり
     ◇潜在能力の発揮と協同組合労働

      第三章 労働者協同組合と人間発達

     一 非営利組織における人間の問題

     ◇障害者運動から生まれた発達論 
     ◇自力で学習できる環境づくり
     ◇発達段階に応じた適切な援助 
     ◇人間の交流は対話から 
     ◇非営利団体での人間発達とは? 

     二 組合をダメにする11のカギ

     ◇人間発達に逆行する「11のカギ」 
     ◇相互交信できるコミュニケーションを 

     三 仕事の発見と「社会の記憶」

     ◇価値観を転換するキーワード…
     ◇実践が「社会の記憶」をつくり出す 
     ◇「社会の記憶」は人間と組織の発達の基盤 
     ◇「社会の記憶」と共に情報の活用を

     四 能率と民主主義の両立にむけて

     ◇自らの労働のあり方を研究する運動
     ◇労働と教育を運動で結ぶ
     ◇労働者協同組合運動は国民発達保障の労働 
     ◇発達を保障する「委員会」活動 
     ◇情報機器の積極的な活用 
     ◇新しい組織論発展の契機

      おわりに
       ――仕事おこし運勤と社会改革

     一 仕事おこしと新しい時代――雇われもの根性の克服
     二 国民の生活様式の変化
     三 「生きがい」をつくりだす芸術文化の仕事おこし
     四 新しい地域をつくるために
     五 労働者協同組合運動の発展のために







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  2023.05.27UP








 

 



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編集人:飯島信吾
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UP 2022年12月02日 
更新 2023年08月27日
更新 2023年08月31日
更新 2023年11月05日